コンパクトな腕時計に〈アディダス オリジナルス〉ならではのスタイリッシュな世界観を落とし込んだ〈アディダス タイミング(adidas timing)〉。その新定番として「マンチェスター」コレクションがデビュー。落ち着いた佇まいが魅力の同コレクションを題材に、ファッション業界の第一線で活躍する荒木大輔氏、片貝俊氏、八木智也氏のスタイリスト3名を招集し座談会を開催。彼らとともに「マンチェスター」の魅力に迫ります。
荒木大輔 スタイリスト(中)
1976年生まれ。スタイリスト熊谷隆志氏に師事したのち、2001年に独立。数多くのファッション誌で活躍する他、ミュージシャンや俳優などのスタイリングも手掛ける。
片貝俊 スタイリスト(右)
1982年生まれ。愛知県出身。スタイリスト小沢宏氏に師事し、その後2009年に独立する。氏ならではの独特の世界観のスタイリングは、業界内でもファンが多い。
八木智也 スタイリスト(左)
1981年生まれ。NYで活躍するスタイリスト竹中佑二氏に師事後、独立。ニューヨーク仕込みのセンスを武器に、メンズファッション誌中心に活躍する。
ーみなさん、面識ってあるんですか?
荒木大輔氏(以下荒木/敬称略): 「片貝君とは飲みに行ったこともあるし、よく話すよね」
片貝俊氏(以下片貝/敬称略): 「そうですね。飲みの席でどんな話をしたかは覚えてないですが…(笑)」
荒木: 「八木君とはちゃんと話すのは今回が初めてだね」
八木智也氏(以下八木/敬称略): 「いつもぼくが一方的に挨拶する感じですね」
片貝: 「一方的な挨拶って(笑)」
荒木: 「八木君っていつも〈アディダス〉のスニーカー履いてるよね? なんか足元がいつも気になるんだよなあ。『いい靴履いてる人いるな』って思うと、八木君なんだよね」
八木: 「スニーカーは〈アディダス〉ばっかなんですよ。〈アディダス〉大好きなんで」
ー〈アディダス〉といえばやっぱりスニーカーのイメージですか?
片貝: 「スニーカーのイメージは強いかも」
荒木: 「そうだね。〈アディダス〉のスニーカーは勢いあるし」
ー時計のイメージはあまりない、と。
荒木: 「〈アディダス〉の時計”っていうだけで意外性はあるよね。珍しいというか」
片貝: 「言われてみればそうですね」
荒木: 「〈アディダス タイミング〉っていう時計ブランドは知っていたけど、スポーティなイメージが強かったから、今回の『マンチェスター』のようなシンプルなモデルはとても新鮮だよね」
ー意外性があっておもしろいですよね。みなさん、時計にはどんな機能を求めますか?
片貝: 「ぼくはシンプルなほうがいいですね。ストップウォッチ機能とかあっても使わないし」
荒木: 「そうだね、ぼくも使わない。時間がわかればそれで十分かも。携帯の機能が発達しちゃったから、もともと時計についていた機能はそっちで全部まかなえるっていうのもあるし。だから時計に余計な機能はいらないかな。時間がわかって、なおかつデザインが良ければいい」
八木: 「ぼくも同意見ですね」
ーデジタルとアナログならどちらがお好みですか?
荒木: 「断然アナログだね」
八木: 「ぼくもアナログですね。デジタルはシンプルでわかりやすいんですけど、反射的に時間の経過が判断できるわけではないですよね」
荒木: 「そうそう、針の角度で時間を確認したほうが“時間の感覚”が体にインプットされやすい」
片貝: 「言われてみればたしかにそうかもしれない」
荒木: 「つまり3人ともアナログ派ということだね」
ニクい演出が散りばめられている。
ーマンチェスターは全部でこの6つの展開になるんですが、好みのモデルってありますか?
八木: 「このメタルのゴールドは目を惹きますね。インパクトがあって」
荒木: 「雰囲気いいよね。歳取ったせいで最近ゴールドって気になるんだよな(笑)」
片貝: 「歳のせいなんですか(笑)? ぼくはこのシルバーがいいですね。大人っぽくてシックな雰囲気だし、なんにでも合わせやすそう」
八木: 「実はぼく、オールブラックのモデルも好きです(笑)」
片貝: 「ああ! そっちもいっちゃう?」
八木: 「〈アディダス〉っぽくないデザインというか、そういう“意外性”が魅力的に映るのはブラックかなと」
片貝: 「そう言われるとぼくもブラックが気になってきたなあ…」
荒木: 「たしかにブラックいいねえ」
ーいま八木さんが仰ったように、良い意味で〈アディダス〉っぽくないデザインに関してはいかがですか?
荒木: 「スポーツブランドの時計ってシンプルでこじんまりとした印象が強いんだけど、これはしっかりとした存在感があるよね。サイズ感や重量感、そして高級感もあってファッションウォッチとしての主張を持っている」
八木: 「この文字盤の3時の部分が〈アディダス〉マークっていうのも、さり気なくて好きです」
一同: 「ああ、本当だ!」
ー〈アディダス〉といえばこのマーク。ニクい演出ですね。
片貝: 「ニクいなあ(笑)。そういう気の利かし方、お洒落だなあ」
荒木: 「気が利いてるねえ!」
片貝: 「ぼくも1つニクい演出を発見したんですけど、発表していいですか?」
一同: 「どうぞ、お願いします!」
片貝: 「レザーベルトタイプのベルト裏の滑り止めも全部〈アディダス〉マークになっております!」
一同: 「おおぉぉ(笑)!」
荒木: 「本当だ、すごい!」
片貝: 「しかもラバーなのにムレなそう。この滑り止めの突起が湿気を逃がしてくれる気がするんですねぇ、はい」
荒木: 「やるねぇ、そういうの大事だよね。俺なんか汗っかきだから不快感あるとつけたくなくなっちゃうもん。あとアクセントとしてこういうカモ柄もいいね」
八木: 「カモ柄は嬉しいですね」
荒木: 「ベルト裏に配置しているっていうところで主張も最低限に抑えられるし。迷彩好きな人は嬉しいだろうね。このレザーベルトのタイプはディテールのさりげなさが魅力的だと思う」
マンチェスターを使ったコーディネート。
ーファッション的にはどんな洋服と合わせたら良いのでしょうか?
片貝: 「結構デカいっすよね。時間が見やすいっていうのはあると思うけど、ボディ自体に主張があるからブレスレット的な感覚でつけてもいいかもしれない」
荒木: 「たしかに。そういう感覚のほうが合わせやすいかもね」
ーシンプルなスタイルのアクセントとして使いやすいと。
荒木: 「そうだね。寒い時期はニットやコートを着ても存在感出てくるだろうし、夏場で薄着のときはコーディネートのアクセントになってくれそう」
八木: 「ぼくは以前にマンチェスターを使ったスナップの企画に出させてもらったんですけど、そのときは黒い服にこのメタルベルトのゴールドを合わせました。相乗効果で服も時計も目立つかなと思って」
荒木: 「ゴールドの持つ雰囲気はフォーマルなスタイルのハズし要素として取り入れるのもいいかもね」
片貝: 「メタルのブラックは男女ともに合わせやすそうですね。毎日使うことを考えると、トレンドのモノトーンスタイルだったりにも使いやすいと思います」
荒木: 「そうだね。ブラックは一番馴染みがいいかも」
ーレザーベルトのタイプはいかがですか?
荒木: 「ベルト裏のラバーの色を拾うといいよね。ブルーやオレンジのアイテムを差し色として入れるとベルトと同調してまとまりが出る」
片貝: 「ああ、それありですね。ぼくそのテクニックよく使います」
荒木: 「そういうしたたかなアプローチはやりやすいよね」
片貝: 「このレザーベルトのタイプは『色を拾え』ってことで」
ー最後に、改めてお気に入りのモデルをひとつを選んでいただき、それを使ったスタイリングを教えていただけますか?
八木: 「ぼくはやっぱりメタルベルトのブラックですね。スタイリングは同色のウェアに合わせて、さり気なさを演出するのがいいのかなぁと。もしくは、白やグレーなどの洋服を合わせてコントラストを効かせるのもアリだと思います」
片貝: 「確かにコントラストを作りやすいし、ファッションとしての力を感じますよね」
ーありがとうございます。続いて荒木さんお願いします。
荒木: 「お気に入りはゴールドかな。ホワイトやベージュなど淡い色のニットやコートを合わせると素敵にまとまると思います」
八木: 「同調系ですね」
荒木: 「キャメルのコートとか相性いいんじゃないかな。あとは、ぼくがつけているゴールドの指輪とも相性がいいなと思って。だからもし指輪とかアクセサリーが好きな人なら、ゴールドが入っているものを合わせるといいんじゃないかと。重ね付けすると面白いと思います」
ーでは最後に、片貝さんいかがでしょうか。
片貝: 「ぼくはレザーベルトのシルバーで! スタイリングはさっき話していたように、このベルト裏のオレンジを拾うのがベターだと思います。オレンジ色のキャップとか?」
荒木: 「あとはカットソーやニットでも、柄やワンポイントでオレンジがあると拾いやすいだろうね」
片貝: 「オレンジが入っているチェックシャツとか、単品では取り入れにくいアイテムも色を拾えば統一感が出るし。どうせなら、ラバーの色味を楽しむスタイリングをオススメしたいですね」