2013年AWシーズンより、〈ディーゼル〉のアーティスティック・ディレクターに就任したニコラ・フォルミケッティ。レディー・ガガの元スタイリストで、肉ドレスを手がけたのは有名な話だ。その他、これまでに人気ブランドのファッションデザイナーやファッションディレクターなど、その活躍ぶりは多岐に渡り、なおかつ世界規模。そんな彼が〈ディーゼル〉に入って早5シーズン。本企画では、ニコラ本人へのインタビューから、2015AWの全容、そして日本人の母を持つ彼の頭の中を探っていく。
Edit_Jun Nakada
ニコラ・フォルミケッティ(Nicola Formichetti)
1977年5月31日生まれ。38歳。イタリア人の父と日本人の母の間に生まれ、幼少期を静岡県の沼津で過ごす。2010年のブリティッシュ・ファッション・アワードにて、ファッションクリエイターのための「イザベラ・ブロー賞」を受賞。同年12月には「ファッション業界で最も影響力のあるクリエイター」の一人に選ばれた。2013年4月よりディーゼル・アーティスティック・ディレクターに従事している。インスタグラムのフォロワーは16万人、ツイッターは24万人を優に超える。
ーどういう経緯で〈ディーゼル〉のアーティスティック・ディレクターに?
ディーゼル創始者兼社長のレンツォ・ロッソが声をかけてくれて参加することになったんだ。自分自身がディーゼルを代表する存在になれることをとても光栄に思ったよ。ディーゼルはオルタナティブ・ラグジュアリーだし、そのスタイルは自分がこれまで手がけてきたファッションのキャリアにぴったり合うと感じたしね。
ーその話を聞いたときの最初の心境は?
“ワォ! どうしたらいいんだ!? こんなクールなグローバルブランドに入れるなんて、なんて素晴らしいことなんだ! って思ったよ。
ーそもそもアーティスティック・ディレクターってどんな仕事?
デザイン、マーケティング、店舗をはじめとするすべてをディレクションしているよ。大変な仕事だけど、とても刺激的だし、またレンツォ氏の信頼を得ているという褒賞もあるしね。ディーゼルの歴史の一部になれていることにとても喜びを感じているよ。
ー今の役職につく前に〈ディーゼル〉に対して持っていたイメージは?
90年代、ディーゼルは世界中で一番クールなデニムブランドだった。誰もがディーゼルを着たがっていた時代で、自分もティーンネージャーの頃、同じようにディーゼルに憧れていたのを覚えているよ。だからその時代をそのままをもう一度、実現させたいと思ってる。世界中で一番クールなビッグブランドにね!
ー今シーズンのキャンペーンテーマである「Decoded by DIESEL」を説明してください。
戯言やデタラメを言うのをやめて、ディーゼル本来の魅力をシンプルに打ち出したかった。モードの美学や常識に捉われず、ありのままの世界観を伝えることが、消費者と直接つながることができると考えたんだ。
ープロダクトに関して、とくにこだわった部分はありますか?
ディーゼルのアイコンでもある”デニム・ロック・ミリタリー”。この3つのDNAをベースにコレクションを発展させていったことかな。このDNAはシーズンを問わず常にベースにあって、いわばひとつの指針だね。
ー今回フイナムでは、「Decoded by DIESEL」を紐解くキーワードに”ジェンダーレス”があると考えました。ニコラさんにとっての”ジェンダーレス”とは何ですか?
「ジェンダーレス=誰もが同じ」と捉えていて、コレクション自体もウィメンズでもメンズ寄りでもなく、両ジェンダーに基づいたアイデアとスタイルによってひとつのコレクションを作り上げています。互いに交換して組み合わせたり、コーディネートを直感的に楽しんでほしいな。
ーディーゼルというビッグブランドの舵取りをすることの難しさはありますか?
ブランドの規模が非常に大きいので、新しいアイデアやコンセプトを作り出すのにも、構成するにも時間を要してしまうことかな。ただそれはとても楽しい作業でもあるので、とにかく時間が経つのがあっという間。もう2年が経過したなんて信じられないよ。きっと楽しんでやっているってことだね!
ースタイリストからブランドの責任ある役割を担う立場になり、精神面で何か変化はありましたか?
特に変化はないよ。規模の大きさにこそ違いはあるけど、自分が関わるプロジェクトに対しては、どんな仕事でも全力で取り組んでいるからね。
ー今後、ディーゼルをこういうブランドにしていきたい! というような展望はありますか?
もちろん! ディーゼルを世界で一番クールなブランドにすることだよ。