どこで生産されたかを確かめるのは、服を選ぶ際の楽しみの一つ。糸の生産背景にまでこだわって生地を選び、縫製をイギリスで行っていると聞くと、どうしても「おっ」と思ってしまいます。2011年より展開している〈PRIVATE WHITE V.C.〉はイギリス・マンチェスターに位置するファクトリーのオリジナルブランド。

この工場は200年以上にも及ぶ長い歴史の中で、さまざまな用途・デザインの服を生産してきました。世界的に有名なモードブランドや英国人デザイナーブランドをはじめとして、イギリスの由緒正しいアウターブランドやロンドン警視庁のレインコート、航空会社のコーポレートウェアなど多岐に渡ります。

同ブランドの魅力は工場のバックグラウンドだけではありません。〈ダンヒル（dunhill）〉や〈トッズ（TODS）〉などを手がけてきたデザイナー「ニック・アシュレイ」による服作りのコンセプトやクラシックなディテール。また、それらを実現する自社工場の職人による卓越したカッティングや縫製の技術、日常的な使用に耐えうる上質な素材選びなど、あらゆるこだわりが詰まっています。

今シーズン、同ブランドを象徴するトピックは「ECOSEAM」でしょう。「ECOSEAM」とは地球温暖化の要因になりえるフルオロカーボンを排除し、繊維を独自に再構築することで耐水性、耐汚染性に優れる仕上げのこと。生産過程で有害な物質を排出しない点もポイントです。コットンギャバジンを使ったエコシーム仕上げの7ピーススーツは今季の〈PRIVATE WHITE V.C.〉の象徴的なアイテムです。

そのほかにも、ベンタイルを用いたハリントンジャケット、ロロピアーナのストームシステムファブリックを使用したステンカラーコート、日本製コットンジャージー製のポロシャツなどが揃います。ひとつひとつのアイテムに一貫して込められた実用の美学は、永く着用する中で気づくことのできる贅沢。イギリスの歴史の中で洗練され、拡張され続けてきたクラシックの現在形に、ぜひ一度触れてみてください。