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COLUMN

monessay

Written by Toshiyuki Sai

フイナム発行人、フイナム・アンプラグド編集長である蔡 俊行による連載企画「モネッセイ(monessay)」。モノを通したエッセイだから「モネッセイ」、ひねりもなんにもないですが、ウンチクでもないのです。今回は〈ゴードンミラー〉のホースリールです。

第五十五回熱帯夜

この連載、月2回の連載から月イチに変わったので、入稿スケジュール管理というか、リズムが狂う。さっきまで書くのを忘れていて、ふと気づいて慌てて書きはじめているところ。まあ、ひきつづきお付き合いください。

つい先日、社用車を買い換えた。前のドイツ製の黒いバンは、ドアとかロックとかいつもマイナーな部分に不都合がありちょくちょく修理が必要な個体だった。それでもエンジンは小気味良く回り、小回りもきいて運転はしやすかった。人も荷物もいっぱい詰めたので、仕事のクルマとしては悪くない。しかしたまに深刻なトラブルも起こる。そして最後にミッションがイカれた。クラッチが滑っているような、アクセルを踏んでも力が駆動輪に伝わらない状態になり、修理代を見積もると買い換えた方が賢明という判断となった。

いくつかの候補をスタッフと吟味し、国産の頑丈な商業車がいいということと、あまり大きなサイズだと取り回しが大変なので、できるだけコンパクトなモデルということで絞りこんでいった。そして最後に残ったのが、〈トヨタ〉のタウンエース。もちろん中古車である。

知り合いの紹介のクルマ屋さんに、オークションにかけられる同車をウォッチしてもらい、いいのが出れば落札してもらおうとしたのだが、そういう時に限ってタマがでない。ふた月くらい経過したところで、やっとというかついに白いボディのクルマが現れた。

白の個体ではまんま商業車で気持ちがアガらないので色をつけようということになり、候補色をいくつか決めた。最後に残ったのが〈ジープ〉のライノというチャコールグレー(社名つながり)か、コヨーテカラー。まあ、これがトラブルの元ではあるんだが。

札幌に「ビートレード」さんというクルマのカスタムショップがある。雪国なので四駆車が得意なショップのようなのだが、ここで手掛けるクルマがとてもクールなのだ。ここでカスタムしようかと当初検討していたのだが、予算が合わず断念。しかし彼らがペイントしているカラーがステキなので、着色を参考にさせてもらった。というと誤解を招くかもな。正確に言えばパクらせてもらった。すみません。それがくすんだベージュであった。

つまりこのくすんだベージュか、ライノチャコールかで最終検討していたのに、〈ゴードン ミラー〉のクルマの色もいいなんて意見が出てきて、同社のベージュ的色、つまりコヨーテカラーがいいという意見も出た。

フイナム編集長、特命部長、そしてぼくの3名がこの件に関わっていて、しかもどいつも色と名前の見解がものの見事に違って、完成したクルマを見たときには天を仰いだ。コヨーテというより気色の悪い、クレヨンの“肌色”になっていた(この表現はPC的にはよろしくないけれど、ぼくらの子供の頃はこう呼ばれていたのであえてそう表記しますね)。

よくあるミスコミュニケーション。もはや後のカーニバル。どうしようもない。

いま駐車場にこの不気味な色のタウンエースが鎮座しているという状況だ。

百歩譲って、同じコヨーテでも〈ゴードンミラー〉カラーならどれだけ良かったか。一体何がどうなってこうなっちゃったの?

こんなイケてるホースリールの購入を検討しながら、そんな出来事を思い返している熱帯夜である。たぶん宴会部長、じゃなかった特命部長はあの時、頭の中が熱帯夜だったのかもしれない。

ホースリール ¥6,800+TAX

GORDON MILLERオリジナルのフルカバーホースリール、オリジナルカラー。ホースは耐寒・耐圧・防藻、高密度ストリング構造で軽くてねじれにくい中黒ホースを採用。ホースは余裕の20m、さらに補助ホースは2mあるので本体の置き場所に困りません。紫外線からホースを守るのでホースが長持ち。カバーが取り外せるのでお手入れも簡単です。洗車や散水など、用途に合わせて9種類の水形パターンが選択できとても便利。

PROFILE

Toshiyuki Sai
Publisher, HOUYHNHNM / Editor-in-Chief, HOUYHNHNM Unplugged

フリー編集者を経て、スタイリストらのマネージメントを行う傍ら、編集/制作を行うプロダクション会社を立ち上げる。2006年、株式会社ライノに社名変更。

INFORMATION

GORDON MILLER

www.gordonmillerpro.com

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