Vol.9 小鹿田焼のこと。
東京と福岡との2拠点の生活を始めて変わったことのひとつに、小鹿田焼への見方があります。
それまでも何度となく、大分県は日田の皿山という窯元が集まった集落には足を運んでいましたが、頭の中で消化してしまうというか、記憶の中にしまっておく程度になっていました。それが福岡に行くようになり、買い付けの最中に手にする機会も増え、小鹿田焼の魅力を肌で感じ取るようになったのです。
それはとびきり古いものではなく、昭和の頃に作られた30年か40年くらい前のものを持った時に感じる、何というか、手から入ってくる情報、つまり厚みだったり凸凹具合だったり、いろいろな意味での重みでした。今のものにはない、ずっしりとした、ちょっと使いづらいくらいの重さというか、安定感のような。
小鹿田焼には、飛び鉋や刷毛目と呼ばれる独特な装飾があるのですが、古いものはそういう具合もリズミカルで間隔も美しく、現代のものとは違う魅力を感じるのです。また、古い小鹿田焼には、底の裏面などに「小鹿田」「小鹿田焼」という見分けるための印があったり、窯によって印が違ったりと惹かれる部分でもあるのです。
それから福岡に行くたびに、小鹿田焼を仕入れることが増え、個人的にも使うようになり、身近なものへとなっていきました。さらに東京の豊島区には小鹿田焼の専門店「ソノモノ」があり、店主と話していくうちに、その興味にも拍車がかかりました。
目から入ってくる美しさももちろんですが、手からの感覚も大事にすることで、またモノの見え方が変わるかもしれませんね。
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PROFILE
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After working for United Arrows and Landscape Products, he established Swimsuit Department in 2010. In September 2015, he presided over the first modernism show in Japan.
http://swimsuit-department.com