Vol.14 赤の話。
古いモノをたくさん見てきましたが、少し前に赤の奥行きの深さを感じることがありました。
やはり赤という色は、ぱっと見の存在感もあって、目に飛び込んできます。古いモノの赤には現代では見ない発色のものが多く、ハッとさせられることが多いのです。
染色家の方にその話をしたところ、確かに一番変化のある色かもしれないということを聞きました。石油製品の出てくる70年代以前のこと、着色に使われた染料などは、経年の変化の起きやすい自然由来のものが多かったり、現代ではもう使わない、もしくは様々な理由で使えなくなってしまったものでした。
![](https://www.houyhnhnm.jp/wp-content/uploads/2021/01/01.jpg)
![](https://www.houyhnhnm.jp/wp-content/uploads/2021/01/02.jpg)
例えば日本のものだと、この鳥取のお面。赤が黒く深い色をしています。現代の着色とは色の深さの違いを感じます。
![](https://www.houyhnhnm.jp/wp-content/uploads/2021/01/03.jpg)
![](https://www.houyhnhnm.jp/wp-content/uploads/2021/01/04.jpg)
他のものだとメキシコの色彩陶器でも赤系の色が抜けたものが多く、その変化がたまらなくいいのです。染料の赤は日光や酸化などに弱く、それが経年の変化となって現れるのです。
またスカンジナビアのガラスでは、赤の発色に金を使っていました。カイ・フランクのカルティオというグラスではヴィンテージ市場でも赤の方が高く販売されていますが、そもそも当時も赤だけは少し高く販売されていました。金のコスト面でのためですね。もちろん現代では金を使っての発色はほとんど見られなくなってしまったのでガラスの赤も違う色となりました。金を使ったガラスの赤もまた、黒が入った深い赤なのです。
年代に注目してみたり、海外のモノとの発色の差を見ていくのも楽しいのです。
PROFILE
![](https://www.houyhnhnm.jp/wp-content/uploads/2019/07/prof_takahirogoko.png)
After working for United Arrows and Landscape Products, he established Swimsuit Department in 2010. In September 2015, he presided over the first modernism show in Japan.
http://swimsuit-department.com