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COLUMN

Translated By DeepL

Curry Flight

Text and Photographs: Curry Cell

Along with ramen, curry is one of Japan's soul foods. In recent years, there has been no end to the number of "addicts" who are captivated by the fascinating taste of curry and its mellow aroma of dazzling spices. The mysterious charm of curry is that it makes you want to eat it and talk about it at the same time. In order to explore this profound world of curry, we asked Mr. Curry Cell, who boasts overwhelming knowledge and experience in eating curry, to act as our guide. Curry is a reading material.
 
An intellectually curious journey through curry.
Let's fly with curry today. To somewhere unknown.

第15便 映画とスパイス

最近はカレー活動ばかりが目立つ私ですが、もともとはCMの監督。映像畑の人間です。
それもそこそこ以上の映画マニアでして、学生の頃は年に1000本ペースでの映画鑑賞……、つまり一日3本がノルマだったほど。
ほとんど睡眠を必要としない特殊な人間だったことを差し引いても、そこそこクレイジーですね。
そこまで行くと、脳内に映像ライブラリーができる。
目という感覚器官でリアルタイムで見ている「現実」とは別の世界を、脳内で再生できる。
それは目を通していないにもかかわらず、まごうことなき「ヴィジュアル」なのです。

映画の世界では、そういった「脳内ヴィジョン」のダイレクトな視覚化を試みた作家が多くいます。
映画の父ジョルジュ・メリエスにはじまり、シュルレアリストとしてのルイス・ブニュエル、そしてケネス・アンガーとアレハンドロ・ホドロフスキー、デヴィッド・リンチ……
(私が映像を志すきっかけとなったのはルイス・ブニュエル「アンダルシアの犬」でした。)
アニメでいうならライアン・ラーキン(湯浅政明監督にもそのケがありそう)。
それらの映画作品は、「物語」や「文芸」よりもむしろ「魔術」「幻術」に近いもの。
それは映画が「総合芸術」と云われる由縁の、まさにアートとしての純粋部分かも知れません。

……と、カレーのコラムなのになんでそんな話をするのか?

そう、実は映像の仕事を長くしていて、気になっていたことがあったんです。
「総合芸術」と云われる映画でも、五感のうち「視覚」と「聴覚」しか支配していないじゃないか、と。
いくら映画が「視覚」と「聴覚」を支配し解放したとしても、残りの「嗅覚」「味覚」「触覚」は依然、「現実」の檻の中にいる。
VRだARだというモノだって、多くはその範疇に収まっちゃっている。
なんだか足りない。
本当の意味で「脳内ヴィジョン」に浸るためには、「嗅覚」「味覚」「触覚」すらも支配せねばならない……と、そう考えたとき、気づいたんです。

そうか、だから映像クリエイターはカレーが好きなんだ、と。

ま、突拍子もない話のように聞こえるかもしれませんが、つまり「視覚」「聴覚」の表現に煮詰まった時、そこに欠落した「嗅覚」「味覚」「触覚」に刺激を与えるカレー、というかスパイスの存在が大きな救いとなる。
脳を刺激しビジョンを補強してくれる。
これは実に実感を伴った話であるわけです。

つまり、映画を真の総合芸術たらしめるためには、スパイスの刺激こそが必要なのではないか。
そんなことをずっと考えていたわけです。

そして、実は今年、思いもよらないことが起こりました。

劇場でのケネス・アンガー作品HDリマスター公開。

そして知人の仲介もあり、まさか!の公式コラボとして、スパイスミックスを開発するチャンスがやってきたのです。

うわぁ。

上述の映画作家の中でも最も物語性が薄く、魔術性が高いケネス・アンガー監督。
現在の音楽PVの祖といわれるイメージのたたみかけはまさに、刺激が強いカレーを食べてトリップしているときの脳内ヴィジョンそのもの。
そこに、作品世界のイメージを増幅するべくブレンドされたスパイスを組み合わせ摂取したなら……これこそまさに「総合芸術」たりうるのではないかと。

早速、私が全幅の信頼を寄せている東京スパイスハウスの川久保さんに連絡、作品世界に沿った私のアイデアを基にスパイスをブレンドしてくださり……、完成したのは3つの映画作品に合わせた3つのスパイスMIX。
カレーではなく、スパイス酒用のスパイスMIXです。

ケネス・アンガー・スパイス酒MIX <花火> ¥800+TAX

ピンクペッパーと大人の香り漂うスパイス、そして酒の中に開く薔薇の花びら。
少年の大胆な性的夢想をスパイスで表現。

ケネス・アンガー・スパイス酒MIX <ルシファー・ライジング> ¥750+TAX

酒を蒼く染めるバタフライピー、痺れを呼ぶネパール山椒ティムル。
サイケデリックな高揚感を欲するときに。

ケネス・アンガー・スパイス酒MIX <スコピオ・ライジング> ¥850+TAX

世界トップクラスの辛さを誇る唐辛子「スコーピオン」に、ハイビスカスなどでフェティッシュな香りを加え、脳天をドライブさせるスパイス酒を実現。

好みのお酒(750mlに一袋が目安)に2週間以上漬け込むことにより、作品の世界観を増幅するスパイス酒が完成。
ケネス・アンガーの映画を見ながらこのスパイス酒を摂取すれば、より効果的に「脳内ヴィジョン」に到達できる。つまり、効果的に(もちろん合法的に)トリップできる……はず。

これはまたとない実験の機会、是非試していただきたい。

ケネス・アンガー『マジック・ランタン・サイクル』は、2021年3月12日(金)アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺、アップリンク京都ほか全国順次公開。

ケネス・アンガー・スパイス酒MIXは、西武池袋本店3Fで2月17日(水)から3月9日(火)の3週間開催される「東京カレーカルチャー」で先行販売。その後アップリンクにて販売予定です。

映画×スパイス=総合芸術。
なんだか、スパイスの新しい可能性を感じています。

カレーを巡る、記憶の旅。
さてさて、次回はどんなFlightをしてみましょうか。

PROFILE

Hiroaki Matsu (Curry Cell)
Curry curator/video creator

In pursuit of all kinds of curry and strange creatures. A spice radar by nature, he has visited more than 3,000 curry restaurants in Japan and abroad. He has been featured in many magazines and TV programs, and is a member of the Japanese Curry Awards selection committee. He is a member of the Japanese Curry Awards Selection Committee, and is a member of the "Next Breakthrough Curry Restaurant" program, which invites a new local curry restaurant to Shibuya every month.SHIBUYA CURRY TUNEThe company is holding the "Mutual Aid Association of Japan (MAAJ).

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