第16便 夜がダメなら朝カレー。
コロナ蔓延防止による政府と都の対策は、飲食業を見事に狙い撃ちしています。
もともとロビー活動が苦手な業界だから仕方ない……とばかりは言っていられません。日本のインバウンドにおける最大の観光資源は「食」。ここでそれが滅んでしまっては、国際スポーツ大会どころではないのですから。
そこで、カレーの出番です。カレーはとにかくコロナに強い。
いや、おまじない的な意味じゃないですよ。
野菜や肉、魚貝などあらゆる食材を利用でき、テイクアウトにも宅配にも冷凍にも適応できる。どんな食のジャンルとも自在に融合できる。そんな可塑性が、ほかの飲食と比べても圧倒的に強い、そう思うのです。
夜営業とお酒が封じられた居酒屋が、これを機にランチテイクアウトのカレーを出し始めている、それほどカレーはいまの状況に強いのです。
そんな今日この頃、カレー界で一つのムーブメントが静かに起こり始めています。
朝カレーです。
実は最近、朝カレーを始めるお店がどんどん増えてきているんです。
朝のカレーは健康的？
かつて、全盛期のイチロー選手が、朝カレーを習慣にしているとメディアが報じ、ちょっとしたブームになったことがありました。（実際には話題になったころにはイチロー選手は朝カレーをやめていたっぽいですが）
実際、カレーに用いられるスパイスには食欲増進、血行促進効果があるものが含まれているので、朝から栄養を取り、カラダを目覚めさせるのに効果がありそうです。
東京で朝カレー提供店が増加中！
今までも、朝カレーを提供するお店はありました。ともに新宿「カレーショップC&C」「11イマサ」、東京駅前「ALPS」は以前からワンコインを切る価格帯で朝カレーを提供、ビジネスマンの朝のエネルギーチャージを応援してきました。
これらニッポンカレーライスだけではありません。
代々木八幡「スパイスポスト」は朝8時からフルサイズのスパイスカレーを提供。
「スパイスポスト」のポークビンダル＆キーマ。副菜もついて朝からたっぷりボリューム。
2019年には、日本における南インド料理普及の立役者、「ケララの風」が「ケララの風モーニング」と店名を変え、南インドの軽食を朝から提供するお店へと業態変更。
朝からカレーやスパイス料理を外食でいただける素地は、じわじわと育ってきていたのです。
コロナ下で進化する、朝カレーの世界。
ところがコロナ禍により、飲食の夜営業が大きな打撃を受けるようになった昨年末あたりから、朝カレーは多様な広がりを見せてきます。
まさに、「夜がダメなら朝カレー」。
2021年2月には四谷に「スパイスカレー食堂」がオープン。とっつきやすく「スパイスカレー」を名乗っていますが、実際にはスリランカ料理をワンプレートで提供するお店。平日はなんと朝8時から売り切れまでの営業。朝からレギュラーメニューが頼めるほか、ワンコインの軽い朝食メニューも用意されています。
油をあまり用いず、胃にもたれないスリランカ料理は朝食にも最適なんですよ。
「スパイスカレー食堂」のブラックチキンカレー。
「インドカレーが美味すぎる立ち食いそば」として知られる「よもだそば」は東京・名古屋に店舗を拡大。その業態を活かし朝７時からインドカレーを提供しています。
初めて食べるとビックリするクオリティのインドカレーだけでなく、お蕎麦もレベルが高いので、まずはセットでいただくのがオススメ。
「よもだそば」の半狸そば＆半カレーセット。
世田谷代田の「キッチン アンド カリー」も水・金曜日をメインに朝カレーをスタート。もともと、お店のコンセプトとして朝から活動する健康なライフスタイルを支援していることもあり、朝カレーの提供は自然な流れ。カレーを米粉のパンケーキと合わせるという、独創的かつヘルシーなアイデアが流石！
朝の営業情報はお店のInstagram、Facebookページをチェックですよ。
「キッチン アンド カリー」のモーニングプレート。この日のカレーはビーツ。
他にも、南インド料理の鉄人マハリンガムシェフによる「スリ マンガラム」が南インドモーニングを始めたり、浅草「ガヤバジ」が西インドモーニングを始めたりと、随分と朝カレーは多彩に。
カロリーの高い従来のカレーライスとは異なるタイプの朝カレーも増えてきたので、「毎日朝カレーだと太るんじゃ？」なんて心配も不要です。
コロナに強い、カレーという食べ物。夜がダメなら朝に、その在り方を変化させながら今年も進化し続けることでしょう。
さて、次回はどんなFlightをしてみましょうか。コロナに強い、カレーという食べ物。夜がダメなら朝に、その在り方を変化させながら今年も進化し続けることでしょう。
PROFILE
In pursuit of all kinds of curry and strange creatures. A spice radar by nature, he has visited more than 3,000 curry restaurants in Japan and abroad. He has been featured in many magazines and TV programs, and is a member of the Japanese Curry Awards selection committee. He is a member of the Japanese Curry Awards Selection Committee, and is a member of the "Next Breakthrough Curry Restaurant" program, which invites a new local curry restaurant to Shibuya every month.SHIBUYA CURRY TUNEThe company is holding the "Mutual Aid Association of Japan (MAAJ).
