Born in 1976. He has been involved in men's fashion magazines as an editor and writer, and has handled many articles related to vintage clothing. He is currently in charge of writing for his company's website, and is also known as a collector of vintage bandanas.
Lecture 1: Tomohiro Konno
「かたち、生産国、素材、仕様と、“役”が付つほど高くなる」
80’s Burberrys’ Tielocken Coat
the recently departed (and buried or cremated, etc.)今回もまずは自分から。ひとつめは〈バーバーリー〉の「タイロッケンコート」を。
section (of an orange, etc.)いま一番熱いかもね。いまヤフオクとかでも〈バーバリー〉で検索すると、【一枚袖】って検索用ワードを結構見かけるほど、みんな探してるみたいね。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)タイロッケンはもともと1800年代後半から生産が始まり、一時的にほぼ市場からなくなっていたもので、中でもイングランドメイド、オールコットン、一枚袖となると、自分はこの1着しかいままで見たことがない。トレンチの原型とも言われているコートなんですが、個人的にはトレンチよりも着やすいですし、他の人ともカブりにくいバーバリーなのかなと。これは80年代頃のものと譲っていただいた方から聞いてます。
Fujiwara:一枚袖って、要はアームに剥ぎがないってことですよね?
the recently departed (and buried or cremated, etc.)そう。普通は剥ぎ目のある二枚袖が一般的なんだけど、トレンチもステンカラーからも一部一枚袖が見つかっていて。自分はたまたまイングランドメイドのものを手に入れることができたけど、ほかの生産国のものでも、そこまで見たことがない。
Fujiwara:それはチャイナメイドとかってことですか?
the recently departed (and buried or cremated, etc.)チャイナじゃなかったと思うけど。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)多分ライセンスだとは思うけど、その中にもまた珍しいとされる生産国があるようで。特にフランス製は生産期間が短かったみたいだし、先日、水戸のストレイシープ(欧州ものに強いヴィンテージショップ)さんにお手伝いいただいて、ヴィンテージバーバリーのイベントをやったんだけど、その時に聞いたのは〈バーバリー〉のコートを数千枚見つけてもフランス製のは1枚あるかないかというくらいみたい。
section (of an orange, etc.)この間、高円寺のとある古着屋さんで一枚袖が何着か出ていてチェックしたら、フランス製のオールコットンも1枚あったよ。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)それでいくらくらい付けてるんですか?
section (of an orange, etc.)ゴッパーくらい。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)安い。
Fujiwara:5800円?
section (of an orange, etc.)いやいや、5万8000円だから(笑)
chestnut fieldてか、5万8000円で安いんですね(笑)
Fujiwara:僕も1万5800円とか1万9800円とかの世界だと勝手に思ってたんだけど。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)いやいや、〈バーバリー〉の定価って知ってます? 日本だと20万円以上からなんですよ。それを知ったら5万8000円なんて安いもんじゃないですか。これは受け売りなんですが、そもそもヨーロッパの富裕層向けに作られたコートなんで全世界的にも価格設定を下げたことが一度もないみたいで。
Fujiwara:なるほど。意外にするもんなんですね(笑)
section (of an orange, etc.)あとオールコットンとT/C(ポリエステル混紡綿)の2種類があるんだけど、オールコットンはとにかく数が少ない。というか、ほぼT/Cしか出てこないのが現状で。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)役が付いていくほど高いですよね。まずはかたち、続いて生産国、袖の仕様、素材と。とはいえ、自分も1年半ほど前に〈バーバリー〉が1着欲しいから、その前にちょっと勉強しておこうと思って知り合いの古着屋さんに集めてもらったら、その奥深さにハマったクチでして。別注品とかもかなりあるので、まだわからないことばかりなんですが。まあ、自分らってみんなアメリカ古着から入っているので、単純にヨーロッパものが新鮮だったって部分もあるんでしょうけどね。実はまた今年の秋口に向けてストレイシープさんの御協力のもとVLACK VINTAGE SHOWのヴィンテージバーバリー展の第2弾を開催予定なので楽しみにしていて下さい。
「シャーデーは曲名をブランドコンセプトに引用するほど、ゆかりのあるアーティスト」
90’s Hip-Hop&Black Music T-Shirt
the recently departed (and buried or cremated, etc.)続いては90年代のミュージシャンT。NASやスヌープ・ドギー・ドッグ、アレステッド・ディベロップメントなどヒップホップやブラックミュージックが中心です。
section (of an orange, etc.)僕はこの辺疎いんだけど、最近高くなってるんでしょ。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)NASは自分のブランドでもオフィシャルでTシャツ作ったくらい思い入れのあるアーティストですし、スヌープも確かファーストアルバムがリリースされたタイミングで殺人容疑がかかっていて(笑)、そんな悪いヤツの作った音楽なら聴いてみたいと思ってタイムリーでハマったアーティストのひとり。
section (of an orange, etc.)これって全部オフィシャルものなの?
the recently departed (and buried or cremated, etc.)どうでしょう? ブートも中にはあると思います。でも、じつはブートの方が少ないし、人気もあって。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)この間行ったインスピレーション(年1回LAとNYで開催される大型展示会)でもこの辺が結構出ていて、とんでもない価格が付けられてましたね。ディスカウントにも全く応じてくれなかったし。
section (of an orange, etc.)もうちょっと古めのアーティストTとなるとロック系ばかりだから、僕も一時はブラックミュージック系を探したことがあったけど、当時は全く出てこなかったな。これは誰?
the recently departed (and buried or cremated, etc.)セロニアス・モンクです。僕もブラックミュージック系を集めるにあたって、周りの人に聞いたら、とにかくマーヴィン・ゲイものが出てこないと。それから気にしてマーヴィン・ゲイばかり探したけど、じつはまだ1着も見つけられなくて。
chestnut field確かに見たことないかも。
section (of an orange, etc.)前に地方のショップで僕の一番好きなアーティストでもあるドナルド・バードのチャンピオンボディが出ていて、ちょっと他の店を覗いてる間に売れちゃったのを思い出したよ。この辺だけを集めているコレクターも少なくないんだろうね。
Fujiwara:みんなちゃんと音楽聴いてるんですね(笑)
all of us(Laughter)
chestnut field大丈夫、オレもそんなに聴いてないから(笑)
the recently departed (and buried or cremated, etc.)このアレステッド・ディベロップメントのものは友人からいただいたもの。このシャーデーのものは大分着込んでボロボロだけど、ずっと手放せずにいて。ブランド始めた当時、ブランドコンセプトみたいなものを考えるにあたって、シャデーのアルバム曲「Bullet Proof Soul」をコンセプトの最後の文言に引用させてもらったほど、勝手にゆかりのあるアーティストなんです。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)まあ、僕自身もじつは何度か見かけてはいたけど、当初はそれほど気にはなってなくて。ただ、Gジャンはある程度揃えることができたので、次はちょい丈長めのカバーオールが気になり出したと。今回もそうだけど、こうやって大量にワッペンが付いてると、ディーラーは大抵「ワッペン1枚、云ドルで計算したら、絶対お得だから」って言い出すよね。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)カバーオール繋がりで最後は〈カーハート〉のヴィンテージを。
section (of an orange, etc.)これはスゴイね。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)裕くんと一緒にヴィンテージの501XXの本を執筆している水戸の「スマイリー」の川又君に見てもらったら、トップボタンが打ち込みじゃなく、さらにポケットフラップもなく、アームの補強にリベットを使っている点から考えるに、おそらく彼が知る限りハート型のチェンジボタンの付く最も古い〈カーハート〉のカバーオールなんじゃないかと。
section (of an orange, etc.)けど、このタグはカナダメイドという説もあるじゃない? マスタークロスって表記があるものはカナダだって。
the recently departed (and buried or cremated, etc.)一般的にはそう言われていますけど、詳しい方からお話を聞く限り、じつはカナダメイドだけにこのタグが使われていたワケではないみたいで。マスタークロスって言うぐらいですから、おそらくハイエンド版で、同時期にハイエンド版とマスタークロス仕様じゃない廉価版が存在していたんじゃないかと。
section (of an orange, etc.)I see.
the recently departed (and buried or cremated, etc.)ちょっと色落ちが特殊だったので調べてみたら、この個体に関しては左綾なんですよ。襟も直線的ですし、何より先ほど言ったようにトップボタンが打ち込みじゃなく、ハトメ+ムービングボタンの個体は完全に初見だったので。おそらく20年代頃のものじゃないかと。