ループウィラーは誰もが認めるスウェットブランド。
今回リリースされるダウンベストですが、どのようなことがきっかけで製作をしようということになったのですか?
Suzukiもう5~6年前になるかな。過去に〈ロッキーマウンテン(Rocky Mountain)〉とダブルネームのダウンベストを作ったことがあるんです。第二弾を作るという選択肢もあったんですが、できれば新しいことをやってみたいなという考えが自分の中にありまして。そんな時期に南さんが〈ナンガ(NANGA)〉とコラボレーションしたダウンジャケットを作っていたんです。
MINAMI別件の打ち合わせを鈴木さんとしている最中に、ダウンベストの話になったんですよね。
Suzukiお客様からも要望があったし、そろそろ作ってみようかと。自然な感じでしたね(笑)。ベストに関しては、南さんからの希望でした。
MINAMI個人的にダウンベストを仕掛けたいなと思っていました。鈴木さんを説得してスウェットの生地でダウンベストを作れたらなと(笑)。「どこのブランドと作ろうか」という話になったときに、ぼくらの背景をしっかりと反映してくれる〈ザンター〉をチョイスしました。〈グラフペーパー〉のオリジナルダウンを作ったときもお世話になっていたので、プロダクトのレベルの高さももちろん知っていました。
目利きである南さんから見て、〈ループウィラー〉や〈ザンター〉はどのような魅力を感じていますか?
MINAMI〈ループウィラー〉は誰もが認めるスウェットブランドだと思うんです。〈グラフペーパー〉や〈フレッシュサービス〉でも別注を作ったんですが、一切妥協がないんです。鈴木さんにはリスペクトを感じていますよ。御大にお任せすれば良いという安心感もあります(笑)。〈ザンター〉は、多種多様なタイプのアウトドアブランドがある中で、ファッションカテゴリーではないプロユースのプロダクトを作り続けてきている部分に惹かれました。南極観測隊の人たちが現地で着用したウェアを作ったブランドなので、個人的にグッとくるものがあったんです。鈴木さんはもの作りに対してこだわりが強い方なので、中途半端なことはできないなと思い、自分のところで試してみて「これだったら大丈夫」と確認してから紹介をさせて頂きました。
デザインやディテールは70年代のモデルを踏襲。
鈴木さんは、南さんと一緒にベストを製作してみていかがでしたか?
Suzuki南さんは目利きであることは言うまでもないですが、本質を理解して結果を出せる数少ない目利きの一人。なので、ループウィラーとの相性はすごく良い人なんだなと思います。今回のベストだけではないですが、今のトレンドもきちんと加味したモノ作りが、本当に上手です。これは〈ループウィラー〉では絶対やらないだろうなぁ、と驚かせられたことは何度も(笑)。さすがです。
MINAMI基本的なデザインは鈴木さんにやって頂きました。昔ながらのクラシックなダウンベストが作りたいという意見はぼくが出して。デザインやディテールは70年代のモデルを踏襲しました。
Suzukiデザインという程のことはあまりしていませんが、流行り廃りのないベーシックなモデルを作りたいというのは根底にありましたね。以前作った〈ロッキーマウンテン〉との別注ベストはかなり反響があったので、最初はそれをベースに考えていました。ですが、その考えをリセットして考え直した結果、スウェット素材をふんだんに使用した〈ループウィラー〉らしい一着に決定したんです。肩部分の色を切り替えたいという南さんのこだわりも詰まっています。
MINAMI作る前から全てスウェット素材を使用したかったんです。〈ロッキーマウンテン〉の別注ベストは肩の部分がレザーに切り替わっていたので、それをスウェットで表現したいなと。全てネイビーやグレーで作ってしまうのも良かったんですけど、切り替えることによってアクセントを加えたかったんです。裏地のポップなブルーを採用しようと言ったのは鈴木さんのアイディアです。
Suzukiこのブルーは〈ループウィラー〉でよく使用していて、ぼくも大好きな色なんです。表地のスウェットは多くのプロダクトで使用しているLWライトという定番の生地を採用しています。
単純に最高なものを作りたいという気持ちが強いんです。
〈ザンター〉はこれまでにタウンユース仕様の服を作っていたのですか?
Suzukiパリコレに出るようなコレクションブランドのプロダクトを数点のみ作ったことがあるそうです。なので、最初から簡単ではないだろうなと担当の方はおしゃっていましたね。芯地を貼って生地が伸びないようにしているんですけど、裏にどれくらいの芯地を貼るのかが適切なのかと試行錯誤を重ねました。
MINAMI最初は、スウェット素材を使うのは難しいと懸念していましたよね。クオリティが第一優先のブランドなので。とにかくテストしてみないとわからないという感じでした。アームホールの太さの設定とかも何度もやり直しましたね。
海外に行くと、日本のファブリックや縫製などに興味を示している若手デザイナーが多いように感じます。このダウンベストはまさにそんな人たちの心をくすぐるアイテムでもあります。
Suzuki〈ループウィラー〉は、海外では決してできない繊細なモノ作りをやっているんですけど、20年経ってようやく自分でも分かってきたと思うことがあるんです。イギリスにはツイード、イタリアには薄手のウールなどそれぞれの国を象徴するファブリックが存在していました。ですが、様々な事情で生地が作れなくなってきているのが現状です。ぼくは日本の吊り編み機が減っていくという危機感があったので、ブランドを立ち上げました。日本には面白いモノを作っているブランドがあるということを少しずつですが、伝えられているかなと感じています。
MINAMI“クールジャパン”という言葉を最近耳にしますが、海外の人たちが評価すべきことであり、ぼくら日本人が決めることではないんです。海外の動向を意識するのではなく、単純に最高なものを作りたいという気持ちが強いんです。鈴木さんのところと一緒にやるんだったらレベルの高いところでやらないといけないっていう使命感もあります。それを海外の人たちが感じてくれると嬉しいですよね。
Suzukiサラッと言っているけど、南さんだから成り立つんです。彼には彼の方程式があって、ぼくにはぼくなりの方程式があります。人間はいろいろな経験を重ねていくと、欲望や欲求のレベルが上がっていくじゃないですか。その結果が、このダウンベストなのではないかと思います。たくさんの人に着てもらいたい最高の一着が出来たと自負しています。
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