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3つの服から紐解く、生まれ変わったネームのクリエイション。

NEW MODE of Name.

Creation of the reborn name unraveled from the three garments.

2018年秋冬、ドメスティックブランドの〈ネーム(Name.)〉はデザイナーを交代し、新体制のもとでコレクションを発表しました。ブランドの特徴でもあるポップな色使いや独特のパターンはそのままに、よりリアルな目線でつくられたウェアの数々。シーンの潮流を的確に読みながら、より親しみやすく、よりファッションが楽しいと感じられるブランドへと進化を遂げました。新たにデザイナーへと就任したのは、これまでパタンナーを務めていた山田拓治さん。コレクションのなかでもとくに目立っていた3つのアイテムのデザインを通して、生まれ変わった〈ネーム〉について語ってもらいました。

  • Photo_Kazumasa Takeuchi
  • Edit_Yuichiro Tsuji
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山田拓治 / Name. デザイナー

国内のコレクションブランドでの勤務を経て〈ネーム〉に参入。前デザイナーの清水則之氏のもとでパタンナーとして手腕を振るうほか、企画も行った。2018年秋冬のコレクションよりデザイナーへと就任。

象徴的なユースたちを取り上げた2018年秋冬。

今シーズンより新体制での〈ネーム〉がスタートしました。山田さんがデザイナーへと就任した経緯を教えてください。

mountain field前デザイナーである清水さんが辞めることになって、ぼくはパタンナーとして〈ネーム〉の服づくりに関わっていたのと、企画もやっていたので自然な流れでデザイナーになることになりました。あともうひとり、松坂という長年に渡って〈ネーム〉を支えてきたスタッフがいて、彼はディレクターとしてブランド全体の舵取りを行っています。

おふたりの役割の違いはどんなところにあるんですか?

mountain field全体のラインナップを決めるのは、ふたりでアイデアを出しながらやっています。松坂はブランドの方向性を見て、それに対してぼくが具体的に服をデザインしています。お互いが足りないところを補い合っているイメージですね。

新たな編成になったときに、どんなブランドにしていこうか、話し合いのようなものはされたんですか?

mountain fieldこれまでの〈ネーム〉は、一見するとポップでありながらも尖ったクリエイションを行っていました。それをもっとわかりやすく伝わりやすいものへとシフトチェンジしていこうという話をしました。デザインはもちろん、ヴィジュアルに関してもお客さんがより楽しめるものを目指そうと。

かといって、ベーシックなものをつくろうとしているわけではないですよね?

mountain fieldそうですね。わかりやすく言えば、ニーズの一歩先を行くような新しいファッションを提案する物づくりを行っていきたいんです。ぼくらは直営のお店を持っているので、今季からはそこから届くお客さんの声や要望に耳を傾けて、デザインに反映させています。

I see.

mountain fieldつまり、よりキャッチーで手に取りやすく、ファッションとして受け入れやすい服になったというのが大きなポイントです。変わらないのは独特のサイズ感であったり、色使いですね。パターンに関しては現在もぼくが担当しているので、服を着たときに現れるシルエットは今も昔も変わらないですね。

ある意味ではその独特のシルエットに“ネームらしさ”があると。

mountain fieldぼくらはあくまでリアルクローズをつくっているという意識なんです。ただ、どこにでもある服をつくってもおもしろくない。近くで見たり、着たりすることで、いい意味で違和感を感じるようなパターンを引くように意識しています。それはデザインも同じですね。普通に見えて、実はそうじゃない。そんな服を目指しているんです。

今シーズンは“アイコンズ”というテーマでコレクションを発表されました。ここにはどんな思いが込められているのでしょうか?

mountain fieldユースカルチャーにフォーカスして、映画や音楽など、さまざまな時代のアイコニックな若者たちのスタイルを取り上げています。例えば映画の『マイ・プライベート・アイダホ』に出ていたキアヌ・リーヴスであったり、あとは若かりし頃のレオナルド・ディカプリオやリバー・フェニックスだったり。いろんなスタイルを見るなかで、いいものを摘んでクリエーションに反映させているんです。

特徴的なパターンが顕著に表れた定番シャツ。

ブランドとしてとくにおすすめしたいアイテムを教えてください。

¥25,000+TAX

mountain fieldまずはこのシャツですね。プルオーバー型のオーバーサイズのシャツは〈ネーム〉が得意とするアイテムのひとつなんです。

山田さんのこだわりのパターンが活きたアイテムとも捉えることができそうですね。

mountain field肩や身幅がたっぷりしているのに加えて、袖を大げさにカーブさせたパターンを引いています。通常、シャツの袖は真っ直ぐなんです。でも、このシャツのようなカッティングにすることで見た目に違和感が生まれるのと、着用したときに袖がたまるようなデザインになっています。

生地がどこかふっくらとした印象です。

mountain field柔らかくてシャリ感のあるコットンシャンブレーを使用しています。表面には熱を加えて光沢を出す加工を施すことで、どこかキレイ目な表情が出るように工夫しました。

胸のポケットも特徴的ですね。

mountain fieldそうですね。普通は上から生地をかぶせてボディと一体化させるんですが、袋状にして浮くようにデザインしました。実際に着ることで通常とは異なる表情が生まれておもしろいかなと。

渋さとポップ。相反する要素が共存したボンバージャケット。

秋冬ということで、アウターでのおすすめはありますか?

¥300,000+TAX

mountain fieldこのボンバージャケットですね。スペイン産のムートンを使っていて、柔らかさに長けるのと、防寒性に関しても文句なしです。無駄なディテールを省いてシンプルなデザインにしているのと、通常は顎の部分にレザーのベルトがつくんですが、ベルクロにしてスポーティに仕上げたところがポイントです。

こちらもサイズ感はたっぷりしていますね。

mountain fieldそうですね。身幅を多めにとって、アームホールも太くしています。オーバーサイズのシルエットがより強調されるパターンを意識しました。

シルエットもさることながら、ブラウン×オレンジというカラーリングにも〈ネーム〉らしさが表れているような気がします。

mountain field変わった色にしたくて、このバランスがいいかなと。遊び心のある配色というか。普通だったらやらないですよね。ブラウンの渋さとオレンジのポップさがうまく噛み合ったなと思います。

これは染めているんですか?

mountain field表地と裏地で染め分けています。一度ブラウンに染めてから、さらにオレンジを入れました。濃淡がある場合だときれいに色が出ない場合もあるんですが、うまくいきましたね。

ソリッドでありながらも独特の存在感を放つコート。

せっかくなので最後にロング丈のアウターもご紹介いただきたいです。

¥80,000+TAX

mountain fieldこれはイギリス軍のモーターサイクルコートと呼ばれるアイテムを〈ネーム〉流にアレンジしたものです。バイクに跨りながら戦地を走って、書類などを送り届ける人たちが着ていたアイテムですね。実際は書類を折らずに入るくらいの大きな胸ポケットがついているんですが、それを少し小さくして見た目をスッキリさせました。

ハリと厚みのある生地を使っていますね。

mountain field二重織りと呼ばれる生地で、文字どおり二重になっているんです。それを超高密度に織ることで組成をしっかりさせて、ハリを持たせました。でもそれだけだと着たときにゴワゴワしてしまうので、生地を叩くことで柔らかくして、ちょっと着古した感じにしているんです。

とくにこだわったのはどの部分ですか?

mountain field極力ソリッドなデザインにしたかったので、マグネットボタンを採用したのと、生地の際(きわ)の部分をカットオフ処理して、ラフな印象に仕上げています。あとは、前身頃の袖をセットイン(普通袖)にして後ろ身頃をラグランスリーブにしているところでしょうか。これによってルックスに変化がでるのと、袖の可動域が広がることで単純に着心地がよくなるんです。

小さなこだわりの集積によって服そのものの魅力が決まる。

現在はすでに2019年の秋冬の仕込みに入っているかと思うんですが、改めて新生〈ネーム〉のファーストシーズンを振り返ってみていかがでしたか?

mountain fieldいままではパターンが専業だったんですが、デザインという作業が加わることで、すごく大変だったというのが率直な感想です(笑)。今シーズンに限らずこれはいつもそうなんですけど、展示会が終わると反省点も見えてきますし、常に満足はできないですね。それをバネに次のシーズンをもっと良くさせようといつも思ってます。

とはいえデザイナーとして服をつくるなかで、得られたものは大きかったです。具体的に何が得られたのか? というのは、そのもの自体が大きすぎてぼく自身が把握できてないところもあるのですが、これからどんどんブランドをよくして行きたいという気持ちがより一層強くなりました。

最後に、新生〈ネーム〉のどんなところに注目して欲しいか、そのポイントを教えてください。

mountain fieldやはりぼく自身がパタンナー出身ということもあるのですが、特徴的なカッティングやシルエットを楽しんでほしいです。あとは生地や、パーツの使い方、細かなディテールなど、小さなこだわりの集積によって服そのものの魅力が決まると思うので、そういったところにも注目してほしいですね。

Name.

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