商売人が思う、浜町のポテンシャル。
東京に旗艦店を持つ構想は、日本進出するタイミングからあったと話す山本さん。長らく物件を探した末、辿り着いたのが日本橋浜町でした。なぜ、人通りの多いエリアではなく、閑静なイメージのあるこの場所に出店を決めたのでしょうか?
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「シドニー本部からも、『日本のヘッドショップを開くなら渋谷か新宿かな』と言われていました。でも、コロナ禍でこの物件が空いて、現地調査に繰り出すなかで、浜町ほどぼくらの旗艦店にピッタリな場所はない、と感じるようになったんですね。住んでいる人、働いている人、遊びに来る人。浜町は、このバランスが優れている数少ない街なんですよ。
逆に、そのバランスが取れていないと、休日だけ賑わって、平日はがらんとするようなお店になってしまう。その逆もありえますよね。だから、本部をなんとか説得して、この場所でカフェを開くことにしたんです。そして何より、スローで穏やかな空気感が、シドニーと似ているなって」
浜町は、数分歩くだけでガラッと景色が変わる街。中心部にさまざまな企業のオフィスが入居する「トルナーレ 日本橋浜町」があれば、裏通りには閑静な住宅街が広がります。駅前には中央区最大の公園として多くのファミリーで賑わう浜町公園、お隣の人形町には無数の飲食店が並ぶ商店街も。
そんな浜町に店を開いて一年。山本さんは、この街の今後に高いポテンシャルを感じていると言います。
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「この物件を紹介してくれた安田不動産を中心に浜町のまちおこしが進められていて、そのキーワードが“『手仕事』と『緑』のみえるまち”。そうした理念に共感して、〈ニューバランス〉さん(東京デザインスタジオが併設されたT-HOUSE New Balance)や『富士屋本店』さんを筆頭に、クラフトマンシップの感じられるお店が少しずつ増えています。昔ながらの街並みを残しつつ、徐々に生まれ変わろうとしている。そうした動きが、すごく面白いなと思うんです」
その一方で課題もあるそう。
「ここの近くに『T-CAT』という空港へ直行するバスターミナルがあるんですけど、それがあまり認知されていないような気がします。ビジネスマンだけじゃなく、国内旅行者や海外観光客からも有効活用されると、もっと良くなるはず。仮に早朝に空港についたとしても、『浜町ホテル』で荷物を下ろして、朝から営業している『シングル オー』でのんびり過ごして、周辺を散策するっていう楽しみ方もできます。コーヒーのメッカ・清澄白河も徒歩圏内ですし、渋谷・新宿、浅草・上野エリアへのアクセスも良いんです」
静かに、しかし着々と、変わりつつある浜町。山本さんは、ここ「シングル オー 浜町」から、ひとつのムーブメントを起こしたいと話します。
「地球温暖化の影響で、コーヒーの栽培地が減ってきているんです。2050年には現在の50%にまで減少すると言われています。そんな現状を改善するために、ぼくたちにできることは何か。そのひとつが、より多くの人に環境を気にかけてもらうこと。その一環として、マイボトルを推奨したり、テイクアウトカップの蓋の有無をお客さんに選んでもらうようにしています。ひとつ一つのアクションは小さいかもしれませんが、その積み重ねが、コーヒー文化の未来を変えていくと思うんです」
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