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The world is not made up of only one viewpoint. Interview with Masataka Kubota, TV Drama "Perishable
a fine line

The world is not made up of only one viewpoint.
Interview with Masataka Kubota for TV Drama "Perishable

タイトルからして只事ではない雰囲気がある、TVドラマ「滅相も無い」。深夜枠にもかかわらず、豪華な俳優陣を据えているうえに、観てみるとその世界観も演出もなかなかに目新しい。このドラマをつくりあげた加藤拓也監督を才能の塊だと称する、俳優・窪田正孝さんもこのドラマに出演しています。なぜ加藤作品に出演したのか、その才能と交わることで窪田さんは何を得て、どこに向かうのでしょうか?

  • Photo_Kei Murata
  • Text_Shinri Kobayashi
  • Edit_Yuri Sudo

どうでもいいかもしれないけど本質的なこと

ー各話の実写パートは、まずバーベキューシーンからはじまりますね。あそこでは、堤真一さんが演じる小澤以外8人が一堂に介して、その後ひとりひとりの個人史を振り返るという流れですね。

窪田: 役者全員で集まって撮影したのは一日だけです。全員のスケジュールが合うのが、その日だけだったんです。でも、ドラマのなかでも偶然集まった8人だったから、お互いをよく知らない設定だし、その感じが映像にすごく出ていたなと。みんなお互い慣れていなくて、他人行儀な感じ。その心の距離感みたいなものを、演技を通じて探りながらやっている感じがおもしろかったです。でも映像として観ると、すごく深い部分について喋っているけど、あっさり見える。そこがまたおもしろいなと。

ー窪田さんが演じる岡本は、あの場では他7人の話を書き留める、書記のような役割ですよね。そして、心の奥では何を考えているのかが、その表情からは読めないような役でもある。あの岡本という役を演じるにあたって、どのようなアプローチを取りましたか?

窪田: 内面的なところについては、台本を読んだインスピレーションのままに演じようかなとは思っていました。その部分をつくり込みすぎるのは、おそらく監督もやってほしいとは思ってないだろうし、自分がこの役をやる意味ってなんだろうと考えながら台本を読んでたら、内面の苦悩があるひとなんだなと。

岡本の話の回では、夢が大きなテーマなんですが、現実と夢の境界線が曖昧というストーリーなので、他の回よりはすこしホラーチックかもしれません。そういうイメージで、監督が自分にオファーしてくれたと思ったから、あまり足し算をしないで、むしろ引いていく感覚でとらえました。だから、セリフに感情がないひとにしていったんです。その辺りに関しては、結果、監督とは無言の一致があったからよかったなと。バーベキューシーンでみんなでしゃべっているときに、書記を務めている彼は、彼の一部だとはいえすごく表面的で、根深いところでは大きな穴が開いてるみたいなイメージを持っていたので。

ー今回のドラマは突然この世界に現れた “穴” に入っていくひとのそれぞれのストーリーをなぞるというお話ですが、数話拝見して思ったのは、登場人物皆さんのそれぞれの心のなかに何かしら埋められない“穴”のようなものがあって、その穴を描いているドラマだなと感じました。窪田さんご自身は、こういう穴を持っているなと感じることはありますか?

窪田: 全然あります。比較的家族仲はいいんですが、僕は男三兄弟の三人目なので、常に目の前に2人の大きな背中があったんです。だから、兄たちが通った道を自然となぞってきました。振り返ると、その時はすごく楽だったんだけど、それって自分が選択してないというか、兄がやっているからやっていただけだったんだなと。あとは、力比べや小競り合いも小さな頃からよくあって、そのせいで閉所恐怖症になったり……。だから狭い空間がダメで、普通のやり方だと顔の型とか取れないです(笑)

ー変えたい過去というのはそれだけで一つの “穴” かもしれませんね。

窪田: 地元を離れてみて初めて、自分の小さなレンズで見ていたんだなとわかるんです。見えていた世界も考えていたことも、小さな一面でしかなかったなと。でも、それはその場所が悪いわけでもないし、そもそも自分のルーツであり、ソースでもあるから、決して否定ではなくて。自分が育ってきた世界とちゃんと向き合いながら、この先どう生きていくか、どういうひとと付き合っていくか、何をしていくかというのは考えますね。

それにしても、僕は穴だらけだとたぶん思われてるんですかね?(笑)だからか、どこか欠落している役をいただくことが多くて、あまりハッピーな役は来ないです。それは見るひとのイメージなんでしょうね。それもまた一つの付着だと思うし、別にそれが嫌なわけじゃないけど、でももしそのイメージを変えたいのなら、作用するように変えなきゃいけないとは思います。

ー最後に、今回一話につきひとりのキャラクターが掘り下げられる形式で、合計8名が登場しますが、どのキャラクターが窪田さんとしてはいちばん気になりますか?

窪田: 難しいけど、うーん……(平原)テツさんが演じる真吾の回(6話)かな。彼は本当はできるひとのはずなのに、周りからはその才能が認められずに、できないと見られちゃうひとなんですよ。そうすると、どうあっても真吾はできないひとになっちゃいますよね。思うのは、そのひとのイメージを決めているのは、結局は周りということ。でも、それって写し鏡だから、そうさせているのは本人で。だから本当に世の中は、ひとりじゃないとも思うんです。

たとえば(取材現場にある照明の支柱の赤色を指して)この赤があるじゃないですか。この赤がどれくらい赤いのかといえば、僕にはすごく赤く見えるけど、別のひとにはピンクに見えるかもしれない。でもこれがどれくらい赤いのかは、誰も証明できないでしょう。そのようなことを、堤さん演じる小澤が、僕(岡本)の回の時に言っていて、本当にそうだなと思いました。別にどうでもいいことかもしれないけど、すごく本質的なことのような気もしていて。こういう哲学的な話もさらっとやりやがるぜ、この監督!って思いましたね(笑)

INFORMATION

TVドラマ「滅相も無い」

出演:中川大志、染谷将太、上白石萌歌、森田想、古舘寛治、平原テツ、中嶋朋子、窪田正孝 / 堤真一
ナレーション:津田健次郎
監督・脚本:加藤拓也
主題歌:クリープハイプ 「喉仏」(UNIVERSAL SIGMA)
企画・プロデュース:上浦侑奈(MBS)
プロデューサー:戸倉亮爾(AX-ON)、林田むつみ
制作プロダクション:AX-ON
協力プロダクション:ウインズモーメント
製作:「滅相も無い」製作委員会・MBS

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