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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.24 “じゃない方”だからこそいまが狙い目。アメリカンメイドの隠れ名品スエット。

What is the New Vintage anyway?

In the 1990s, the term "vintage" was used to describe vintage clothing that did not meet the definition of "antique," but was still valuable. Nowadays, there is a movement to find new value in "new vintage," even in old clothes from the 1980s onward, which were called "regular" at the time. In this project, four vintage clothing stores with different styles propose new ways to enjoy vintage clothing. Each of them will talk about the charm of vintage clothing with their own sense of style.

第24回目は、「プロップスストア アネックス(PROPS STORE ANNEX)」の藤井 潤 &土井 健さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


藤井 潤 & 土井 健 / PROPS STORE ANNEX ディレクター
Vol.24_チャンピオンじゃない方のクルーネックスエット

―さて、今回ご紹介いただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

土井:今回は『アメトーーク!』的に言うと〈チャンピオン(CHAMPION)〉“じゃない方”のアメリカ製スエットに注目したいと思います(笑)。アメリカは綿花の原産国なので、スエットとひと口に言っても、本当にメチャクチャ種類があるんですよね。もちろん〈チャンピオン〉はぼくらも大好きですが、古着の「リバースウィーブ」なんて、値段が結構エグイことになっているじゃないですか?

―たしかに、レギュラーとして気軽に手を出せる値段ではなかったりしますよね。

土井:ですよね。完全にブランド化しちゃっているので、フィットがどうとうか純粋にファッションとして楽しめなくなってしまっています。そこで普通に買えるけど、まだそんなに注目されていない“じゃない方”のスウェットを次の提案としていかがかなと。ニュー・ヴィンテージとまでは言えないかもだけど、面白いのがいっぱい見つかりますし。

藤井:たとえば「リバースウィーブ」の特徴である脇部分のリブパネルだって〈チャンピオン〉以外に〈リー(LEE)〉や〈コットンエクスチェンジ(the cotton exchange)〉のモデルにだってあるしね。そこを掘っていくのが面白いんですよ。

―ブランク(無地)っていうのも使いやすそうです。

藤井:現地の人々が好きなのは逆なんですけどね。みんなロゴが好きなので、刺繍なりプリントなりで自分の出身大学や地元企業だったり、応援しているスポーツチームのロゴをドンッとデザインされたモノが人気で、そういった文化的背景の部分でモノを見るのも面白いですよね。だからか無地のモノがあんまり人気がなくって、でもだからこそ、まだまだ選ぶことも可能!

―具体例をいくつか教えてください。

藤井:それこそ、いま名前が挙がった〈リー〉とかは、90年代の裏原宿ブームを知る人間には懐かしいんじゃないでしょうか。

リーのクルーネックスウェット 各¥5,500(すべてプロップスストア アネックス)

リーのクルーネックスウェット ¥5,500(Props Store Annex)

土井:当時の感覚だとボディとしてみた際に、〈チャンピオン〉の次にイケていたのがコレだったんですよね。我々も以前、オリジナルアイテムを作る際にボディに使ったことがあるんですが、メッチャイイんですよ! 〈チャンピオン〉よりも手頃な値段で、かつシルエットにクセがない。生地にもハリがあるし、いわゆる裏原宿のドメスティックブランドたちが使っていたのにも納得というか。「リバースウィーブ」が12オンスであるのに対して、こちらはヘビーウェイトと謳っていても、実際は10〜11オンス位。なので厚みはあれど、洗った際にちゃんと乾いてくれます(笑)

ーで、こちらが〈ラッセルアスレティック(RUSSELL ATHLETIC)〉と。

ラッセルアスレティックのクルーネックスウェット 各¥5,500〜¥6,600(すべてプロップスストア アネックス)

ラッセルアスレティックのクルーネックスウェット ¥5,500(Props Store Annex)

藤井:これも金タグと呼ばれる70年代とかのモノだと、普通にヴィンテージになってしまいます。

土井:最近はそれ以降の年代のモノも相場が高騰し始めているんです。一時期〈エルエルビーン(L.L.Bean)〉がココでOEM生産をしていたこともあるので品質自体はお墨付き。またラインが沢山存在しているので掘り甲斐もあるはず。これなんかは「ハイコットン」とタグに記されているシリーズで、コットンとポリの混紡率が90%/10%で着心地はやや固め。で、コッチは〈ケルスポーツ(KELL SPORT)〉というブランドですね。ここの定番アイテムである、スタンドカラースウェットを〈エレクトリックコテージ(ELECTRIC COTTAGE)〉なんかがボディに使っていたので、一部界隈では有名ですね。

ケルスポーツのクルーネックスウェット ¥6,600(Props Store Annex)

藤井:マサチューセッツ州のフォールリバーという別荘地に縫製工場があるんだよね。あとはアンダーウェアで有名な〈ビー・ブイ・ディー(BVD)〉とかも探すと、調子がイイのが出てきたりします。で、これらに共通するのがシルエット。ぼくらが基本的に好きなのはセットインスリープで、年代的に80年代〜2000年代ぐらいまでのボクシーなシルエットのやつ。それ以前はラグランスリーブが多く見つかるのですが、アームホールが細くなるので重ね着のインナーとしては重宝する反面、1枚で着るならセットインスリーブ&ボックスシルエットに軍配が上がります。

マンシングウェアのクルーネックスウェット 各¥5,500、ビー・ブイ・ディーのクルーネックスウェット ¥5,500、ウィルソンのクルーネックスウェット ¥5,500、ヘインズのクルーネックスウェット ¥5,500、サンティーのクルーネックスウェット ¥5,500(すべてプロップスストア アネックス)

―この〈マンシングウェア(MUNSINGWEAR)〉って、あのペンギンの刺繍がマスコットのテニスウェアブランドですか?

土井:名前こそ一緒だけれど、多分別モノじゃないですかね(笑)。こちらはあのビースティ・ボーイズが主宰していた〈グランド・ロイヤル(GRAND ROYAL)〉でも使用していました。

マンシングウェアのクルーネックスウェット ¥5,500(ともにプロップスストア アネックス)

ーそういうのを聞いちゃうと、俄然物欲が刺激されます。ところで、こういったブランドって、アメリカには沢山あるんですか?

土井:ありますよね。というか正確には“あった”ですかね。今やもうほとんどが中米メイドに切り替わっているので。とはいえ、別にアメリカ製にこだわる必要はないんじゃないかなって。他のショップだとそこに加えて、多分もうちょっと分かりやすくブランドも絞ったりしていると思うんですが、まだそこまでの必要はないんじゃないかと考えています。実際、まだ探すことができますしね。あくまでファッションとして見るなら、そういった部分よりも着用時のシルエットを意識した方が良いと思いますね。アメリカには乾燥機文化があるので、乾燥機焼けで裏地の起毛が死んでたりするし、ちょっと変形したりしてて。でも、だからこそメッチャ気持ちよく着られるというメリットもあります。

ーでは選ぶ際は、その辺がポイントに?

土井:ウチでは、元々大きめサイズを買ってきてるんで、どれを選んでもらっても間違いないけれど、ネックが狭めのものや広めのものもあるので、実際に試着していただき、自分の好みで選んでもらうのが一番。僕なんかは割と首周りが伸びてる広めのやつが好きで、よく買いますし。

藤井:それでいえばリブもそう。ここがイイ感じに死んでいる(伸びている)っていうのは大事かも。この辺のブランドのモノは、洗濯を繰り返すことで裾リブがまっすぐに落ちてくるので、シルエットが崩れることなくリラックスした着心地が楽しめます。この辺りは現地でスリフトを1日中回ったとしてもそんなに数が集まるモノではないし、そのなかで自分自身が着たいと思えるようなモノって、なかなか見つかりませんからね。

土井:それもウチではメッチャ数をストックしていますからね。それこそ売れなかったら心中覚悟で集めたのでぜひ遊びに来てください(笑)

―2回にわたってニュー・ヴィンテージという目線で、グッドレギュラーな古着を紹介していただきましたが、いかがでしたか?

藤井:イイんじゃないですかね。ニュー・ヴィンテージという言葉でカテゴライズしたなかでもショップごとに違う目線があって、それによって古着に対する見方や選び方の幅が広がるっていうのが一番ですからね。

土井:これらのアイテムが「今後、実際にヴィンテージになるのか?」と問われたら、何もそうである必要はないと思っています。あくまでそういった見方もあるんだと、ザックリ捉えてもらえればと。前回も今回も楽しみ方の提案の1つとして、ラフに受け取ってもらえればと思っています。

Jun Fujii & Ken Doi / Director, PROPS STORE ANNEX
The popular import store "PROPS STORE" from Harajuku captivates everyone from the generation that hits the streets directly to city boys, and its sister store "PROPS STORE ANNEX" is a used select store where you can find good regular used clothing. Both are directed by a Hiroshima native. Both are directed by two Hiroshima natives.
Instagram:@propsstore_annex
Official site:propsstoreannex.shop-pro.com

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