ミリタリーやワークのエッセンスをベースに、洗練されたタイムレスなコレクションを手掛ける〈MHL.〉は〈マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)〉のカジュアルラインとして2003年にスタート。現代の日常をワンランクアップさせる着こなしを提案するため、スタイリスト井田正明さんを招き、おすすめのキーアイテムと井田さんの私服を混ぜた、デイリーでアイコニックなスタイルを紹介していきます。2回目は、ベストやブルゾン、ジャケットなど、秋冬スタイルのアレンジに活躍するアイテムをピックアップします。
ニットベストは、個性的なネックラインが特徴の一着。リラックスしたフィットで、レイヤードアイテムとして着こなしの幅を広げます。シンプルな天竺編みでも表情豊かに仕上がる上質なメリノウールを使用し、高級感もたっぷり。
「ブルゾンを脱いだ時も相手がハッとするようなアクセントとして、ベストと半袖Tシャツ、ロンググローブといった個性的なバランスを意識しました」
クラシカルなムード漂うブルゾンは、US NAVYのウォータープルーフジャケットからインスパイアされた一着。ボックスシルエットでラグランスリーブ、ポケットの特徴的なつくりなど、ミリタリーなスタイルは踏襲しながらも、ドットボタンのフライフロントやニュアンスのあるグレーカラーを採用することで新鮮さを追加。コンパクトな着丈は、モードライクな印象を作りながら、どんなボトムスも上品に引き立ててくれます。
タテ糸にふんわりとしたウールを、ヨコ糸に太番手のコットンを使用することで、デニムのようなくっきりとした綾目を生んでいます。裏面は控えめな起毛を施して、肉感のある暖かい肌あたりを実現。品のよさとラフさを自由に行き来する、MHL.らしいジャケットとベストを、井田さんのフィルターを通してコンテンポラリーに表現しています。
「しっかり仕立てられたヴィンテージ感漂うブルゾンは、ベーシックですごく上品。いい意味での渋さを、いまのカッコよさや男性の色気に変換したくて、不良をイメージしました。インナーはTシャツにニットでラフにまとめながら、〈レイバン〉のウェイファーラーやハーフフィンガーのニットグローブでファッション要素をプラスしてます」
80年代のブルゾンをデザインソースに、リブ編みの衿と袖、ジップ仕様のフロントなど、シャツ感覚のライトアウターとしても重宝するデザイン。胸のパッチポケットは口が斜めにデザインされてあり、さりげないポイントになっています。ボクシーなシルエットで、スリムからワイド、ストレートからフレアまでとさまざまな形のボトムに合わせて楽しめるのが嬉しい。タテ糸、ヨコ糸ともにコットンウールの混紡糸を使用し、生地染めをした時に生まれる綾目の陰影で味のある表情に。仕上げに揉み込むような洗いをかけることで、着古したようなヴィンテージの雰囲気をつくり出しています。自身もヴィンテージライクなミックススタイルが好きだと語る井田さん。いますぐマネしたい着こなしのヒントがここに!
「クラシックやレトロといったキーワードがトレンドになっているいまだからこそ、逆に“90年代っぽい”、“昔のアイドルのような”という気分が盛り上がり、新鮮に感じるんです。このブルゾンは、モールスキンに近い風合いがあり、存在感があります。アウターがクラシカルだからこそ、インナーにスポーティなデザインのTシャツを、トラウザーズにはフレアのブッシュジーンズを合わせることで、程よくいなたく、それがかえっていまっぽい。そんなカジュアルな着こなしの遊びとして、黒のオペラシューズを加えて、あえてカジュアルの中にちょっとした違和感をつくっています」
「オーガニックコットンを使用した、軽くて柔らかい13.75ozのデニム地で作られたジャケットとトラウザーズは、ぜひセットアップで」と井田さんがリコメンド。〈キャントン(CANTON)〉オリジナルデニムは、はき込むうちに現れる繊細なタテ落ちとピュアなインディゴブルーが共存するヴィンテージの要素と現代的な機能が見事に融合しています。丁寧に施された裏の始末や、金茶とネイビーの2種類のステッチ糸をディテールに合わせて使い分けているのもこだわりポイントです。
ワークジャケットのスタイルをベースに、リラックス感のあるボックスシルエットを残しつつ、フロントをタックボタンのみのシンプルな仕様にし、腰ポケットはサイドを縫い止めずに仕上げることで、ワークな見た目はそのままに使い勝手のよさやこだわりのディテールが光る一着に。
トラウザーズは、ヴィンテージのオーバーオールのボトムのプロポーションをデザインソースにしたモデル。ややスリムでテーパードシルエット、通常よりも下の位置に施した縦長のバックポケットやシンチベルトなどのインパクトのあるディテールが特徴です。
「完成されたこれらのデニムアイテムを、個人的にもセットアップで着てほしいし、ルック見た時に感じた洗練されたワークっぽさを生かして、モダンな着こなしをつくりたいと考えました。いっそドレッシーなセットアップに見せたいと思って、素肌に着て、ベレー帽とスカーフを足すくらいでいいかなと(笑)。ただ、日常着として提案するために、古着のリンガーTで外して、品のいいセットアップを引き立てることで、ワンランクアップした印象に仕上げました」
Styling_Masaaki Ida
Photo_Taro Hirayama
Hair & Make-up_Katsuyoshi Kojima(TRON)
Model_Mikiya Nakano
Text_Hisamoto Chikaraishi(S/T/D/Y)
Edit_Daiki Yamazaki (Rhino inc.)
Margaret Howell / MHL.
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