〈ヴァレンティノ(VALENTINO)〉のクリエイティブディレクター、ピエールパオロ・ピッチョーリは知る人ぞ知るハワイアンシャツのマニアだった。彼を虜にしたブランドの名は〈サンサーフ(SUN SURF)〉。常夏好きなら知らぬ人はいない、日本が誇るハワイアンシャツブランドである。
〈サンサーフ〉が世に出たのは1970年代のこと。オーナーの小林亨一が収集したコレクションは数千着に及ぶ。アロハシャツの黄金期といわれる1930年代〜50年代のリバイバルを謳うが、そのつくり込みは巷のリバイバルを軽く凌駕する。なかでも秀逸なのは往時の捺染技法を再現した染色だ。鮮やかな発色と深みのある色合いは確かにあのころのハワイアンシャツを思い起こさせる。
両者の名前が並ぶタグ。
ピッチョーリは数あるアーカイブ・モチーフのなかからパイナップル、ボルケーノ、サーフライダー、フラガールをピックアップ、これをコットン、ポリエステル、シルクに落とし込んだ。アイテムはシャツとショーツ。その総柄には〈ヴァレンティノ〉のロゴをしのばせており、このさり気ない遊び心もたまらない。
ピッチョーリがクリエイティブディレクターに就任して10年あまり。まさに脂が乗っているという形容がしっくりくるハワイアンシャツだ。
こちらはよく見るとモノクロにアレンジされたパイナップル柄をプリント。シルクを使った大人顔の一枚だ。¥209,000
張りのあるコットン地を使ったこちらは、前身頃にスラッシュポケットを配置。同じ柄のショーツもラインナップ。¥187,000
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa