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Photographer Keisuke Nagoshi turns his attention to his private, inner world. The photo exhibition "Yoake no" will be held.

世界各地のマイノリティーな人々と寝食を共にするという独特な撮影スタイルで被写体の素顔を引き出してきた、ドキュメンタリー写真家である名越啓介。

近年はそうしたパブリックイメージからいい意味で離れた作品を発表しており、昨年のこちらの展示も、名越の奥行きのある多面性が感じられるものでした。

The breathtaking dawn is breathtakingly beautiful. Keisuke Nagoshi's photo exhibition "Yoake" will be held at Imagine.

そしてこの度の写真展「よあけの」は、作家自身のごく私的な内面世界を表現した作品となりました。

2018年から、山深い岡山の実家で病に臥す父親と向き合い、母親とともに父親の軌跡を辿っているという名越が写し取ったのは、日本、そして日本人のなかにあるだろう幽玄な世界。

日本の原風景が残る岡山を舞台にした、静謐な作品群24枚。ぜひ会場でご覧ください。

十三月
ネムれない夜がある
真夜中を浮遊しながら
夢と現実を彷徨う
時の針の音とカエルの鳴き声
小手先のごまかしと運命のいたずらが厳しい境遇に陥れる
夜空を見上げる輝く月に
想い返すあの言葉が甦る
心がざわつき始める
動かずじっとして信じる
ずっと待ち続ける
あの三日月の輝く夜更けにあの人は消えた
帰る場所がなくなり
また繰り返し
振り返って
探して
また失くして
孤独を知る
そのありのままの心をさらけだして
愛の深みと己を知る
今日も 0.2 秒の人生を月影の道の中 あの人の奇跡を探しまた彷徨い続ける
耳に静かな風の音が残るよあけを思い出しながら
沈黙を続けて
自分自身を信じて求めず
よあけを待ち続ける
まぶたが色に染まってゆっくり目を開けると
柔らかな朝の光の靄にゆっくりと
自分の身体中が溶け込み包まれていった
いつかまた出会える日が必ず来る
信じる事の強さをあの人が教えてくれた
今見えるあの美しく輝く光の中へ
視界がはっきりと見え始めてきた

名越 啓介

INFORMATION

名越啓介 写真展 「よあけの」

期間:6月5日(水)~6月22日(土)
会場:KKAG (Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery)
住所:東京都千代田区東神田 1-2-11 アガタ竹澤ビル 405
時間:15:00〜21:00(水、木、金、土)※日、月、火は休廊
電話:03-3862-1780
Official Site
※入場無料
※最終日 6月22日(土)は 18時閉館

名越啓介
写真家。1977年奈良県生まれ。大阪芸術大学卒。
19才で単身渡米し、スクワッター(不法占拠者)と共同生活をしながら撮影。その後アジア各国を巡り、2006年に写真集『EXCUSE ME』を発表。雑誌やカタログ等で活躍する一方で、その後も写真集『SMOKEY MOUNTAIN』、『CHICANO』、『BLUE FIRE』、『バガボンド インド・クンブメーラ 聖者の疾走』などをリリース。『Familia 保見団地』では『写真の会』賞受賞。

KKAG(Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery)にて、2021年に俳優の渋川清彦を撮影した作品群を展示した写真展「THE MAN」を開催。また、2023年には南米出身者が多く住む愛知県豊田市の「保見団地」で生活を共にしながら撮影した「Familia 0565」を開催し、第 40 回写真の町東川賞にノミネートされた。

2024年7月に、トゥアレグ族と時間を共にサハラ砂漠を撮影した写真集『TUAREG』を出版予定。

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