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いまこそ知っておきたい、アークテリクスのあれやこれ。
Knowledge about ARC’TERYX.

いまこそ知っておきたい、アークテリクスのあれやこれ。

クライミングやバックカントリーといったエクストリームなユーザーはもとより、ストリートからの支持も集まる「アークテリクス(ARC’TERYX)」。けれど、その実態は曖昧で、出自を知る人はそう多くない。今回は、3月18日に「二子玉川ライズ S.C.」内にオープンした首都圏最大の売り場を誇る「アークテリクス」に、日本のブランドヘッドを務める高木賢さんを招聘し、二子玉川店のことをはじめ、ブランドのあれやこれを聞きました。知れば知るほど、このブランドは魅力的なのです。

止水ファスナーはアークテリクスからはじまった。

ー はじめての〈アークテリクス〉がシューズだったんです。2015年くらいに買わせていただいて。

高木:シェルやバッグではなくシューズっていうのは珍しいですね(笑)。2015年といえば、〈アークテリクス〉がはじめてシューズを出した年なんです。

ー 最近、街を歩いていても〈アークテリクス〉の靴を履いている人をよく見かけるんですが、手応えはあったりしますか?

〈アークテリクス〉日本総代理店である「アメアスポーツジャパン」にて、〈アークテリクス〉のブランドヘッドを務める高木賢さん。自身も登山やバックカントリー、そしてクライミングと、アクティビティをこよなく愛する。

高木:まだまだビジネスの規模は小さいんですけど、そういう実感を持っていただけているのはうれしいです。シューズといえば、いま私が履いている「アラキス」というモデルが定番で。クライミング用のスリッパで、踵をつぶして履けるんです。クライミングは基本的にベアフット(裸足)でシューズの履き替えがあるから、この「アラキス」はベアフットでも履けるデザインになっているんです。おすすめですよ(笑)。

ー ありがとうございます(笑)。〈アークテリクス〉って、いつの間にか日本に上陸していて、いつの間にか人気になっていた、みたいなイメージが強いんです。

高木:日本での本格上陸というか、私たち「アメアスポーツ」が扱い出したのが、2014年の秋冬シーズンからになります。たぶん。みなさんが見るようになったのは、「アークテリクス」のザック「アロー 22」が出たときくらいですかね。それが1998年で、セレクトショップさんで扱ってもらっていて。

ー 〈アークテリクス〉自体はいつ創業したんでしょうか?

高木:1989年に、カナダの西海岸にあるノースバンクーバーで誕生しました。当初は〈ロックソリッド〉というブランド名で。もともとは、クライミング用品のハーネスだったりスリングを作っていて、それを岩場の近くで売る怪しい人たちの集まりだったんです(笑)。

ー ガレージメーカーという感じですかね?

高木:まさにそうです。そのときに作ったアイテムが評判になって、1991年にブランド名を〈アークテリクス〉にして。

ー 当時はまだ、クライミングギアだけを売っていたと。

高木:そうですね。そこから1994年にバックパックを作ったんです。当時はすべてがメイド・イン・カナダで、10万円を超えるものも多かったんです。作りには凝りに凝っていたので、一部のマニアのなかではいまだに語り草になっていて。

ー アパレルはいつ頃からだったんでしょうか?

高木:1998年です。最初のアパレルは「アルファ SV」をはじめとするハードシェルでした。そして、これはあまり知られていないんですけど、そのときに、止水ファスナーを〈 YKK 〉と共同開発したんです。

ー ゴアテックスのジャケットで使われる止水ファスナーですか?

高木:そうです。本国にフライフィッシャーの社員がいまして、彼がテントで寝ていたところ、ファスナーの部分から朝露が漏れてきて。それをどうにかできないかと思い立ち、ファスナーの裏側にシリコンを塗ったら水漏れが止まったんです。そのアイデアを元にして、いまに繋がる止水ファスナーが生まれたと。

ー それは驚きです。知らない人もきっと多いですよね。あと、〈アークテリクス〉といえば、アイテム名がギリシャ語で。

高木:「アルファ」とアイテム名に付く場合は、クライミング用。「ベータ」はトレッキングやハイキング用という住み分けになっています。「アルファ」になるとシルエットがすっきりしているんです。シェルで言うと、やっぱりクライマーは自分の足捌きを見たいから、シェルの裾をバタバタさせたくないから、スッキリしているんです。一方「ベータ」は、もう少しゆとりがある。どっちが上か、というよりもシーン別に棲み分けているんです。なのでそれを目印に、アイテムを見ていただくのがいいかもしれません。

ー いつも思うのが、カラーが本当に特徴的だなと。

高木:本社にカラーデザイナーが15名ぐらいいるんですよ、アイテムをデザインするデザイナーではなく、カラーだけを考えるデザイナーです。縫い糸ひとつまで、彼らは考えているんです。

本国のカラーデザイナー。

縫い糸ひとつまで、こだわり抜いて作られている。

高木:普通、ステッチの色ってDTM(Dye to Match)といって、近似色を使って欲しいと工場に指示するんです。けれど、〈アークテリクス〉本社のカラーデザイナーは、そこも指示する。工場任せになるのが嫌なので、縫い糸もすべて、自分たちで選ぶわけです。その違いって目で見てわかるものではないけれど、日本の方々は感覚的にわかっていただけているから、これだけ支持されているのかなと。

巨大な自社工場で、サンプルを作っている。

高木:それと、本国には自社工場があるんです。思い立ったら、即テストできる。ササっとサンプルを作って、それを着用して山に行ってテストすることは日常茶飯事で。自転車で30分も行けばすぐ山で、ハイキングもクライミングもなんでもできるんです。天気のいい日は、会社からデザイナーがいなくなるという(笑)。そうした環境があるから、ポケットの位置はこれでいいのかとか、こういう動きのときはここにポケットがあったほうがいいとか、製品にそうしたフィードバックができるんです。

ー 〈アークテリクス〉って無国籍感があるんですよね。カナダなんだけど、アメリカっぽくもあって。

高木:〈アークテリクス〉の本社があるノースバンクーバーは、南下すればアメリカのシアトルがすぐそこ。さらに、カナダの東側に行くとフランス語圏がある。国自体にヨーロッパの影響が色濃いんですよね。そうしたカルチャーが混ざりあって、その無国籍感に繋がっているのかもしれません。

INFORMATION

アークテリクス 二子玉川ライズ S.C.店

住所:東京都世田谷区玉川1丁目14−1 二子玉川ライズ S.C. テラスマーケット1F
電話:03-6805-6862
公式サイト

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