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セットインとウェイク。札幌の「空き地」に現れた、3日間限りのプレースペース。
Setinn Crossing Party

セットインとウェイク。札幌の「空き地」に現れた、3日間限りのプレースペース。

「札幌にある『空き地』っていうフリースペースで、『ウェイク(WAKE.)』とイベントをやりますよ」。そんな報せが、今年2月にデビューした〈セットイン(Setinn)〉のディレクター・新井伸吾さんから届いたのが5月のこと。ローンチされたばかりの新鋭ブランドが早くもリアルイベント? それも札幌で? そして「空き地」って?? 頭に浮かんだクエスチョンマークを回収すべく、フイナム取材班が向かったのは札幌の狸小路。会場に着くと目に飛び込んできたのは、オープンを待ちわびる人々の長蛇の列と、街中にドカンと設置されたコートでした。

仕掛け人が話す、コトで勝負する理由。

ここからは、主催者2人のインタビューをお届け。イベントを終えた〈セットイン〉の新井伸吾さんと「ウェイク」の小俣弦也さんに、今回の取り組みを通じて感じたことを伺いました。

新井伸吾さん(左)、小俣弦也さん(右)

ー 終始笑顔の絶えない素敵なイベントでした。まずはイベント開催に至った経緯からお聞きしたいのですが、お二人の関係について教えてください。

新井: とあるブランド展示会で出会ったのがはじめましてだよね。共通の友人から、「ウェイク」の弦也くんだよって紹介されて。

小俣: そうですね。それからご飯に行ったりするような間柄になりましたが、仕事で関わったのは去年が初めてですよね。

新井: そうそう。〈セットイン〉がローンチする前に、パートナーとしてこれからブランドを一緒に育てていきたい4つのセレクトショップで、ツアー形式のポップアップをやらせてもらって。

小俣: それが2023年の11月でしたね。

ー ローンチ前から「ウェイク」を特別な店として位置付けていたのはなぜですか?

新井: 尊敬している先輩方のブランドも「ウェイク」に置いてあるし、いいブランドは「ウェイク」に集まるっていうイメージがぼくのなかで完成しつつあった、というか完成していたんです。だから、〈セットイン〉もその仲間に混ぜてほしいって相談したら、受け入れてくれて。

ー 小俣さんが思う、〈セットイン〉の魅力とは?

小俣: ぼく自身、テニスをやったことはありませんでした。でも、新井さんと話しているうちに、テニスとファッションを掛け合わせたら面白いじゃん! っていう熱量が伝わってきて。実際に手に取ってみたら、裏地がメッシュになっていたり、ベンチレーションがついていたりとすごく快適で、どのアイテムも気が利いているなという印象でした。それでいてファッションとしても成立している。そのバランス感が「ウェイク」にフィットすると思ったんです。

ー デビューして早4ヵ月。店での反応はどうですか?

小俣: めちゃくちゃいいです。ローンチ前のポップアップのときから反響が大きかったので、何も心配してませんでした。そうした繋がりのなかで、新井さんからは、〈セットイン〉はモノだけじゃなくコト、イベントや場所も展開していきたいと伺っていたんですね。それと同時に、「空き地」を運営している増永さんっていう方と知り合って。増永さんから「ウェイク」と何かできないかという話をいただいたときに、〈セットイン〉のことが思い浮かんだんです。ただモノを売るだけなら「空き地」でやる意味がないけど、そこにスポーツの要素を掛け合わせれば、イベントをする意義が生まれるんじゃないかって。

新井: モノづくりも好きですが、「ウェイク」で展開されているような名だたるブランドと同じことをしても、いつか埋もれてしまうっていう危機感がありました。ぼくらと他のブランドの決定的な違いは背景。テニスっていうスポーツがルーツにあるので、それを活かしたモノづくり以外のことも積極的にしていきたいなと。

ー お二人の目的が一致したわけですね。今回のコンテンツはどのように決めていったんですか?

新井: イベントの目的は、テニスの間口を広げること。なので、まずはラケットに触れてもらうところからっていうことで、ピックルボールのコートを会場の真ん中に置くことにしました。物販を買うにしても、フードを買うにしても、コートが目に入るようなつくりです。ピックルボールはサンダルやヒールでも遊べちゃうので、ふらっと立ち寄ってくれた人でも楽しめたんじゃないかなって思います。

小俣: みんな上達してましたね(笑)。それに加えて、札幌や「ウェイク」に繋がりのある飲食店にも出店してもらいました。ちょうどこのタイミングで〈ホーボー ブリューイング〉に「ウェイク」のビールをつくってもらっていたので、伸吾さんにも紹介させていただいて。

新井: スポーツ後にグビグビ飲めるビールにしてほしいってオーダーしたんです。そうしたら、次の日にはつくってくれていて、これだ!と。パッケージのグラフィックもお気に入りです。このビールは今後、〈セットイン〉の武器になっていくんじゃないかなって思います。

ー イベントを終えた感想を教えてください。

新井: ずっとやりたかったことができたっていうのが素直な感想です。〈セットイン〉を立ち上げたときから、ゴールは変わらず、テニスアカデミーをつくること。その目標に向かって大きく前進できたような気がします。コートがあって、服があって、ビールがあって、音楽もあって、楽しんでくれる人もたくさんいる。ここに屋根が付いたら、クラブハウスの完成ですよ。

小俣: もともと「空き地」は「JRA」のビルでした。でも、老朽化の影響で解体されて、普通だったらパーキングみたいな使われ方になるところを、人が集まるフリースペースとして整備し直して、次のビルが建つまでの期間限定で運営しているんです。だからこその特別感がある。限られた時間のなかで、この場所で、〈セットイン〉とイベントを開催できたのは嬉しい限り。無事、形にできてよかったと思っています。

ー 次回の開催も予定されていますか?

新井: もちろん、またやりたいです。でも、いついつを目標に進めようってプランを練るよりは、ぼくらがやりたくなったタイミングで連絡を取り合うのがいいかなって思っています。計画的に動けるタイプでもないので(笑)。って勝手に思ってるんだけど、弦也くんはどう?

小俣: 同感です。ぼくも直感を大事にするタイプなので(笑)。

INFORMATION

Setinn

Instagram:@setinn_official

WAKE.

Instagram:@wake.sapporo

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