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ギークな座談会。なぜ3人はウエストポーチの虜になったのか?
WHY WAISTBAGS?

ギークな座談会。なぜ3人はウエストポーチの虜になったのか?

機能性が優れていることをだれもが知っているけれど、ファッションのメインストリームにのし上がることのない「ウエストポーチ」。でもなんだか愛おしい。そんなバイプレイヤー的立ち位置のアイテムの魅力を解明すべく、業界屈指のウエストポーチラバーを緊急招集しました。スタイリスト、古着屋、プレス、それぞれの視点で語る好きなポイント、そして私物コレクションの数々。知れば知るほど奥が深くておもしろい。あれ、ちょっとウエストポーチっていいのかも…
※本企画ではウエストバッグ、ヒップバッグなどを総称してウエストポーチと呼称します。

ウエストポーチ・コレクション。

ー それでは皆さんお待ちかねの私物コレクションをそれぞれ見せていただきましょう。では松川さんからお願いします。

松川さんの私物ウエストポーチ

松川:他にもいろいろとあるんですけど、今回は〈パタゴニア〉に絞って持ってきました。

秋元:ほぼほぼ網羅されてますね。

松川:ほんとですか。別に〈パタゴニア〉しか使わないみたいな強いこだわりがあるわけじゃないんですけど、カラーリングとか、生地感が好きで良く使いますね。

西野:買うポイントとかあるんですか?

松川:自分が持ってない配色とかがあったら買おうって感じで、特にマニアックな視点とかないんですよね。

西野:ですよね(笑)。これもウエストポーチあるあるなんです。特にこだわりがないっていう。

松川さんのお気に入り

〈パタゴニア〉のヒップボルト。ブランドを代表するウエストバッグ。カラバリが豊富だが、松川さんはシックなものをチョイス。

1993年のカタログにしか載っていないとされる幻の〈パタゴニア〉のランバーコンプレッション1st。両サイドにはコンプレッションストラップが装備されているため、フィット感を調整できる。

1stの意匠を引き継ぎ、94年から登場する〈パタゴニア〉のランバーコンプレッションパック。赤×黄の派手なカラーリングと高い収納力で根強い人気を誇る。西野さんも同色のバッグを所有。

ー つづいて西野さん。

西野さんの私物ウエストポーチ

西野:ぼくは色んなブランドのモノを使いますね。その日の入れるモノの量によって、使い分けていて、少量のときは〈アークテリクス〉。結構持ち運ぶときは〈マウンテンスミス〉を使いますね。あと〈エルメス〉とかもあります。

秋元:おもしろいラインナップですね。

西野:本当は〈モンベル〉の現行モデルが荷物によって容量を変えられて、最近よく使ってるんですけど、なぜか見つからなくて。それがめちゃくちゃオススメなんですよね。

松川:カラフルなアイテムが多いのも西野さんらしくていいですね。

秋元:現行モノも買うんですか?

西野:全然買います。なんかこの色いいなとか、この柄好きだなとかで買うんですけど、全然使ってないモノもありますね(笑)。

ー 〈ブラックダイヤモンド〉のチョークバッグもカラーリングがいいですね。

西野:これはニューヨークに行ったときに買ったんですけど、タバコとかを入れるのに丁度いいんですよね。ウエストポーチして、このチョークバッグしてみたいなこともたまにやります。

松川:2個使いですか? 欲張りますね〜(笑)。

西野さんのお気に入り

〈アークテリクス〉のファニーバッグ。〈アークテリクス〉の人気再燃に伴い、古着市場でも高騰化が進んでいる。

〈エル・エル・ビーン〉のウエストバッグのフロントにはドリンクホルダーが装備。メッシュ地のため、中身が濡れずに使える

ー 最後は皆さんお楽しみの秋元さん。

秋元:ぼくのは私物と店のストックが混ざってるんですけど…。

秋元さんの私物&店舗在庫の一部

西野:ブツ量がハンパじゃないですね。

松川:これはヤバいですね、楽しい!

西野:どれが良いとかってあるんですか?

秋元:アウトドア界隈に限定した話だと、だいたいトップ3って決まってくるんですよ。

ー 不動のモノがあるんですね。

秋元:1つは、松川さんがつけてる〈パタゴニア〉のヒップボルトです。

松川:そうなんだ、なんかうれしい(笑)

秋元:残り2つが〈デイナデザイン〉のハーフムーンっていうモデルと、〈ブラックダイヤモンド〉のウィンゲートⅡですね。

松川:そのトップ3は、相場が高くなってるからなんですか?

秋元:いや、そういうわけではなくて、サイズ感と使いやすさですね。ウエストバッグに求められるのが、マチと深さと開口部の広さとかで、この3つはそのバランスがいいんですよね。ただ、使うシーンなどによってサイズとかは変わってくるので、ひとによってこの3つの他にトップ3に食い込んでくるモデルももちろんあります。

松川:そうなんですね、おもしろい。

秋元:〈ブラックダイヤモンド〉のウィンゲートは、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲってあるんですけど、Ⅱが良いモデルと言われてますね。

西野:秋元さんがお持ちのものはサイズが大きいものが多いですね。

松川:やっぱりこう見てるとぼくは小さいのが好きだな。

西野:これはおいくらですか? 高いですよね? 3万9800円?

秋元:〈マウンテンスミス〉の「トリプルプレー」はそこまでいかなくて、1万中盤ぐらいですかね。

松川:このサイズにこの金額かけるのもな〜(笑)

秋元:たしかにコンパクトでベーシックな形ですが、名品ではありますね。

西野:2、3000円ぐらいだと気軽。無くしてもいいかなぐらいのテンションでつけるのがウエストポーチはちょうどいいですよね(笑)

たまたまお揃いだった90年代の〈マウンテンスミス〉のナイロンウエストバッグ。

試着タイムスタート。松川さんは〈グレゴリー〉の旧ロゴ紫タグのヒップメイト、西野さんは〈グレゴリー〉のテールメイトJr.を。

秋元さんのお気に入り

〈グレゴリー〉のテールメイトJr.。名作テールメイトをよりカジュアルに使いやすいようにアップデートしたモデル。カラフルなアイテムも豊富で、この日西野さんはイエロー×グレーを購入。

〈ブラックダイヤモンド〉のウィンゲートⅡ。〈パタゴニア〉の創業者イヴォン・シュイナードが設立したシュイナードイクイップメントの意志を継いだクライミングブランド。オールブラックかつモダンなデザインながら、アウトドアマンも唸る機能性を有している。

〈デイナデザイン〉のランバーバッグ。〈ミステリーランチ〉の前身となったブランド。おそらくマウンテンバイクシーンでの使用も想定されているバッグで、フロントのポケットはシャツなど入れるためのショービットポケットがついている。

西野:こうやって聞くとウエストポーチって深くてめちゃくちゃおもしろいですね。

松川:ほんとそうですね。でもメインストリームには絶対のし上がれないっていう(笑)

西野:そうそう、そこがまたいいところですよね。『マツコの知らない世界』みたいで楽しかったです。

ー 手探りな状態で始まった座談会でしたが、いろいろな切り口で語るとおもしろいものですね。結論、ウエストポーチはファッション文脈で盛り上がる可能性は低そうですが、機能面や手軽さだけで言うと、マス層にもウケる素質はありそうです。お話を聞いていると不思議とつけてみたくなったので、この記事がだれかのきっかけになってくれるといいですね。

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