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着ぶくれ手帳。金子恵治とアヤメが生み出す、スポーティで上品なサングラス。
This is “L'AMÉRIQUE”

着ぶくれ手帳。
金子恵治とアヤメが生み出す、スポーティで上品なサングラス。

ファッションバイヤーの金子恵治さんが、またユニークなプロダクトを仕掛けました。つくったのは某スポーツブランドの名品をサンプリングしたアイウェア。「スポーティなアイウェアをファッショナブルに転換できたら」。そんな思惑が金子さんにはあったのです。それを実現させるため、白羽の矢が立ったのは〈アヤメ(ayame)〉の今泉悠さんでした。完成されたアイテムを見て、「欲しい!」と声を揃えるふたり。とはいえ、そこに至るまでの道のりには、さまざまな難関が待ち受けていたのは想像に難くありません。果たしてどんなアイウェアが生まれたのか。その道程を追いかけます。

アメリカのアイテムをヨーロッパの解釈でリプロダクトしたイメージ。

ー今回はこのアイテムのリリースに合わせて、青山の「アヤメロウ」で販売会もやるんですよね。

今泉: そうですね。〈アヤメ〉のスタッフがお客さまの顔に合わせてフィッティングを調整します。それによって掛け心地がグンと上がるんですよ。それが愛着に繋がればいいですよね。

金子: そもそも“例のモデル”自体がフィット感高めなんですけどね(笑)。

今泉: テンプルの細くなっている部分は曲げやすいようにそうなっているんです。それでフィットが調整しやすくなっていて。

金子: いやぁ、アイウェアって本当におもしろい。めちゃくちゃマニアックですね。

今泉: マニアックですよ。ぼくが〈アヤメ〉をはじめたときは、職人さんは誰も口を聞いてくれなかったですから。そんなひとたちといまでは酒を酌み交わしながら話ができるようになって。

ーその関係性が生まれたからこそ、芯なしのセルロイド製のアイテムが生まれたわけですよね。

今泉: みんなやりたがらないですからね。さっきも話した通り、扱いにくいし、リスクが大きい素材なので。だからぼくも最初はできるとは思わなかった。職人さんとの会話の中で「できる」ということが分かって、それで今回実現したので。〈アヤメ〉のものづくりも、そうした職人さんとの関係性で成り立っているんです。自分たちで生地やレンズをつくっていますけど、職人に「こういう生地が眠っている」と見せてもらったものがきっかけで新しくつくったりするので。

金子: それがすごいですよね。

今泉: そうすることによって色や素材感が全然変わってくるんです。それに、棚に置いたときに他社の製品との差別化が図れる。アイウェアってたった145mm前後の世界で勝負しているので、そうなると、そこに注力しなければならないし、レンズの魅力を最大限に引き出していかないといけないんです。

ーすごく微々たる変化を大きく捉えることが大事だと思うんですが、それを継続してデザインし続けるのが大変ですよね。

今泉: いままで見てきたものが大量にあるので、アイデアはたくさんありますね。デザインが違うのはもちろんですけど、年代によってつくりも変わってくるので。他社のブランドでも好きなものがたくさんありますし。とにかくメガネやサングラスが好きなんですよ。

金子: めちゃくちゃいっぱい持ってそうですよね。

今泉: なくしちゃったものも多いですけどね(笑)。いろんなアイウェアを見ながら、自分ならこうデザインするっていうのが常にアイデアとして浮かぶので、それが終わらない限りは続けられると思ってます。メイクみたいなものですね。そのひとを印象付けるパーソナルなものなので。実際にフィッティングすることで掛けた感じも変わるし、重さとかも年齢によって感じ方が変わる。その微調整がおもしろいんです。

ーそうした中で、金子さんの提案はいかがでしたか?

今泉: めちゃくちゃ新鮮でした。誰もが知る名作を自分がつくるっていう(笑)。だけど、いざ向き合うとめちゃくちゃ特殊なつくりだっていうことが分かって。制約はあったけど、「こうだったらいいな」っていう自分なりの解釈も加えながら微調整したので、楽しかったです。だから“例のモデル”を100%トレースしたわけではなくて、若干バランスを変えているんです。眉毛にかかるようなアーチをつくったり、ノーズパッドが鼻のちょうどいい部分に当たるようにいじったり。

金子: 今回、掛けたときの位置が完璧に合ってたのはそういうことなんですね。あと、オリジナルはフレームがもっと顔に近いような気がしたんですが、これは適度に距離があっていい。

今泉: 大きいノーズパッドを使っているからだと思います。だけど、大きいだけじゃダメなんですよ。鼻って高い、低いで表現されるんですが、日本人の場合は細いんです。だから鼻幅が狭くないといけないんですけど、狭くすると今度は窮屈になってしまう。だから少し開いて、ノーズパッドを立てるように入れました。それだけで掛かり方が全然違ってくるんです。

ー今回はこのアイテムのために付録もつくられたそうですね。

金子: この巾着とハードケースが付属としてつきます。モデル名は「L’AMÉRIQUE」としました。“アメリカ”をフランス語に訳した言葉ですね。今回のアイテム、視点としてはフランスから見たアメリカなんです。アメリカのアイテムをヨーロッパの解釈でリプロダクトしたイメージですね。

ー巾着を見て、“例のモデル”がなんなのか分かるひとも多そうです。

金子: そうかもしれないですね(笑)。これがメガネ拭きの生地を使っているので、そのままレンズを拭けます。

ー数はどれくらいつくっているんですか?

今泉: トータルで200個つくりました。職人曰く、それが限界だということで。セルロイドの生地も簡単にはつくれないので、本当に貴重だと思います。ぼくも欲しいくらいですから(笑)。

金子: めちゃくちゃスペシャルですよね。イベントも楽しみです。

今泉: 鯖江の職人の技術を堪能して欲しいですね。あと、イベントでは金子さんにも会えます。それも楽しみにしてもらえたらと(笑)。

INFORMATION

KEIJI KANEKO × ayame
L'AMÉRIQUE

発売:9月28日(土)
価格:4万4,000円(カラーレンズ)、4万8,400円(ミラーレンズ)
色:スモーク × ディープシー、スモーク × シルバーミラー、ビール × チャコール、ビール × ゴールドミラー
販売店:ayamerow
住所:東京都港区南青山3−5−2 From-1st 2F
電話:070-2299-4670

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