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誰も聴いたことのない音を求めて。紫 今が音楽に込める想い。
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誰も聴いたことのない音を求めて。紫 今が音楽に込める想い。

TikTokやYouTubeを中心としたデジタルメディアを最大限に活用し、いま最も注目を浴びるアーティストとして熱い視線が注がれる紫 今。今年の8月にはApple Musicの「Up Next Japan」にも選出され、勢いに乗ります。そうした事実が裏付けるように、彼女の本当の魅力は本質である音楽にあります。流麗で軽快なメロディと圧倒的な歌唱力、風刺的な歌詞、そしてさまざまなアイデアが詰め込まれたトラック。豊かな表現力によって放たれる彼女の音楽性と、世情を読む鋭い視点はどのように生まれたのか? 自身の歴史を振り返りながら、紫 今がいま考えていること、そしてこれからについて語ります。

PROFILE

紫 今

ハスキー、パワフル、繊細な歌声、かつホイッスルボイスを含む、ハイトーンボイスまで使い分ける抜群の歌唱力を持ち、作詞、作曲、編曲をすべて自ら行う22歳の女性クリエイター。2023年、SNSで話題となった楽曲「ゴールデンタイム」をもって、配信でのリリースを開始。 その後リリースしたEP「Gallery」に収録の「凡人様」は、TikTok~YouTube~配信と多岐にわたってバイラル。12月には「Not Queen」がFM802ヘビーローテーションに選出された。 2024年、自身初のアニメタイアップ曲「学級日誌」をリリース。4月リリースの「魔性の女A」は日本国内のみならず、アジア圏も巻き込んで、バイラルし続けている。8月にはApple Musicによる「Up Next Japan」にも選出され、多くの注目を集める。

常に自分のエゴを持ちつつ、大衆の視線も意識して。

ーApple Musicの「Up Next Japan」の8月度アーティストに選出されました。これは、Apple Musicのスタッフがブレイク前のフレッシュなアーティストにスポットライトを当てるという企画です。選ばれたとき、どんな気持ちになりましたか?

紫 今: 単純にうれしかったですね。紫 今として活動をスタートして、こうやって選ばれるに至るまでのスピード感って普通じゃないと思うんです。本当に世の中ってなにが起こるかわからないですよね。数年前は憧れの眼差しで見上げていたアーティストたちと肩を並べているんだって実感できた出来事でした。

ー今回はそんな紫 今さんのこれまでとこれからについて聞きたいと思っています。はじめにご自身のルーツについて。ご両親はふたりとも、音楽をやられていたそうですね。どんな方なんですか?

紫 今: 父はジャンベというアフリカ発祥のパーカッションを叩いていて、ストリートミュージシャンとしていろんな国を周っていました。母はゴスペルをやっていたり、アフリカ系の音楽が好きでバンドもやっていて。私はそうゆう環境に小さな頃からいたんです。気づいたらゴスペルを唄っていたし、アフリカの音楽も大人たちに混ざって一緒に踊ったり唄ったりもしていて。

ーそれを音楽だと意識したときのことって覚えてますか?

紫 今: そうした光景が当たり前にあったので、両親がやっていた音楽が日本では珍しいものだということに気づいたのは、小学生の頃ですね。当時はボカロ全盛期で、友達の影響で私も聴いていたんですけど、私が慣れ親しんでいたものはすごい音楽だったんだなと知ったんです。アフリカの音楽とボカロって正反対に位置していると思うんですよ。

ーアフリカの音楽は原始的で肉体的に生まれるのに対して、ボカロはデジタルなものですよね。

紫 今: そうですね。幼少期の大切な時期に民族的でフィジカルな音楽に触れたのは、いまの幅広い音楽性に繋がっていると思います。

ー音楽がおもちゃのように楽しいものとしてあったということですよね。

紫 今: 私、相対音感があって、ハモるのが好きだったんですよ。それはゴスペルの影響なんですけど。楽器で遊ぶのも楽しかったんですけど、ハモるということが遊びになっていましたね。

ーアーティストになろうと思ったのはいつ頃からなんですか?

紫 今: 気づいたら「私はアーティストになる」って思ってて(笑)。小学生の頃にレクリエーションで自分たちの特技を披露するイベントがあったんですけど、ピアノを弾いたりする子がいる中で、私は友達を集めてグループをつくったんです。自分はセンターで歌を唄って。その頃から大勢の前で唄える場所を自分で探していました。ダンスも習っていたし、とにかく人前に出てパフォーマンスをしたかった。それで大人になったらアーティストになりたいという気持ちが湧いてきたんです。

本格的に目指しはじめたのは、中学生のときにギターを弾くようになってからですね。歌が上手いだけじゃなくて、楽器を弾けないと曲もつくれないし、必要なことだと思って。ピアノかギターかで悩んだんですけど、当時はアコギ女子ブームだったんです(笑)。

それでYouTubeのチャンネルを開設して、カバー曲の動画を上げるようになって。紫 今の活動はそこからスタートしていますね。

ーYouTubeはもともとやろうと思っていたんですか?

紫 今: ずっとやろうと思ってたんですけど、自分自身の動画をインターネットに載せるということに最初は怖さもあったんです。なかなか勇気が出ない中で、高校生のときにあげた文化祭の動画が100万回再生されて「いまだ!」と思いました。バズって注目を浴びているいまがチャンスだと思ったんです。

ーそこから毎週のようにカバー曲の動画を上げていましたよね。

紫 今: 自分でノルマを課してましたね。学校から家に帰ってきて、制服のまま動画を撮って上げて。カバーだけやっていてもアーティストにはなれないと分かっていたんですけど、当時は作曲能力もなかったし、とりあえず波に乗ってチャンネルを伸ばそう、ファンを増やそうと思いながらやっていました。いつかオリジナル曲を投下するときのために、自分の歌を聴いてくれるひとを増やそうと思ったんです。できるだけのことをしておこうって。

ーカバー曲は日本人のアーティストがいれば、海外のアーティストもいて、ジャンルも多様ですよね。

紫 今: 好きな曲というのは大前提なんですけど、J-POPは再生数が伸びそうな曲も選んでいました。もう消してしまった動画も多いんですけど、いま残っているのは本当に好きな曲ですね。

ーカバーすることによって曲のコードや構成などを学べると思うんですけど、それがご自身の糧になっている感覚はありますか?

紫 今: ありますね。私は英語を話すわけではないんですけど、海外アーティストの発音や抑揚、グルーブとかリズム感をひたすら聴き込んで真似て、自分なりに落とし込むっていうことをやっていて。振り返るとそれがすごく大事だったんだなとわかります。

J-POPのアーティストは、その時代によっていろんな歌い方が流行っていて。邦楽ロックだとあえてぶっきらぼうな歌い方をしたほうが動画が伸びる。洋楽だときれいにしなやかに唄うんですけど、邦楽ロックでは語尾を投げ捨てるように唄ったりとか。あえてそういうことをしていたのが、表現力に繋がっていますね。

ーそうした分析力っていつ培われたんですか?

紫 今: もともとそういう性格なんです。「この曲はこういう唄い方をすればウケがよくて再生数が伸びる」とか、そういうことを考えながらYouTubeに動画をアップして、トライアンドエラーを繰り返していたので。自分なりに考えながら動画を撮ってアップして、ファンの方々の反応を確かめていく中で分析力と客観性が磨かれていきました。常に自分のエゴも持ちつつ、大衆の視線も意識して。

ー小さな頃からアーティストになりたいと思っていて、そこに向かって動いていたと思うんですけど、目的が手段になって楽しさが失われるようなことはなかったですか?

紫 今: 私は勉強がニガテなんです。勉強っぽくなっちゃうと苦しくて続けられなくて。だけど音楽は、曲づくりやレコーディングも含めて遊びだと思ってやっている部分が大きいですね。世間の流れを読むことも、自分がどう見られているか分析することも楽しいんです。世の中の動きを見て、それを自分の音楽に反映させる。その中に自分のルーツであるアフリカの音楽とかをさりげなく潜ませたりすることで、そうしたジャンルに馴染みがないひとにも結果的に届けることができますよね。知らず知らずのうちに耳に入ってる、みたいな。私はそういう仕掛けを考えることにすごくワクワクするんです。

ー中学生や高校生の頃ってすごく多感だし、将来に向けていろんな選択肢があったと思うんですが、アーティスト以外の可能性を考えたことはありますか?

紫 今: 絵を描くのも好きだったので、イラストレーターとか、漫画家になりたいって頭をよぎったこともあります。でも、結局それもいまに通じていて。楽曲をつくるのはもちろんですけど、アートワークも自分で描いてプロデュースをしているので、トータルで世界観をつくることに役立っていますね。

INFORMATION

紫 今

Instagram:@mulasakiima
Apple Music:紫 今
mulasaki-ima.com

【リリース情報】

紫 今「正面」
9月25日(水) 配信リリース

【ライブ情報】

Mulasaki Ima LIVE 2024 "Episode 0+"
日程:10月24日(木) 
場所:代官山UNIT
時間:OPEN19:00 / START19:30

紫 今、初のワンマンライブ、"Episode 0"東京公演が即日ソールドアウトにつき、 "Episode 0+"として追加公演が決定しました。

e+:http://eplus.jp/mulasakiima/
ぴあ:https://w.pia.jp/t/mulasaki-ima-24/
ローソンチケット:http://l-tike.com/mulasaki-ima/

制作:クリエイティブマンプロダクション
https://www.creativeman.co.jp/event/mulasaki-ima24-0/

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