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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.86 “らしくない”が逆にイイかも。実はレアなランズのロゴスウェット。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。今ではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

新たにショップがすべて入れ替わり、この連載も遂に11シーズン目に! 第86回目は、「ナーディードッグス(Nerdy Dogs™︎)」の秋元亮介さん&大橋佳秀さんの2巡目。今回はどんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


秋元亮介&大橋佳秀 / Nerdy Dogs™︎
Vol.86_LANDS’ENDのロゴスウェットシャツ

―今回は2巡目ということですが、前回の反響ってあったりしましたか?

お客様からも「以前から〈ランズエンド(LANDS’END)〉が好きだったんですよ」とか「あのジーンズにモデル名って存在したんですね!」などの声をいただいたりして。〈ランズエンド〉の知名度向上にも繋がったと思います。ただ全体的に“実は好き”ってニュアンスの方が多くて(苦笑)。その辺も“らしい”感じだなと感じました。

―(笑)。これまでなんとなく〈エル・エル・ビーン(L.L.Bean)〉と似たイメージはあるけど、ちょっと下に見られている感じはありましたよね。

アメリカ本国でも多分そんな感じの立ち位置にあると思うんです。なので、ぼくら的にもこれを機会に改めて再評価の機運が高まるといいなと。

―ということで、今回紹介いただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

当然、〈ランズエンド〉です!(笑)。前回紹介したジーンズもそうでしたが、ここの特徴として“ブランドロゴが主張するアイテム”が基本ないんです。そんな中にあって、異例ともいえるのが、このロゴ入りのクルーネックスウェットシャツ。今回はこちらを取り挙げたいと思います。

LANDS’ ENDのロゴスウェットシャツ ¥16,280(ナーディードッグス™️)

―意外なキャッチーさ!

ちょっと定かではないのですが、多分1990年代の終わりから2000年代初頭までラインナップされていた模様。素材はコットン×ポリエステルの混紡生地。フロントにアーチ状にデザインされたブランドネームのパッチが配置されていて、バックは潔く無地。実にシンプルです。

―カレッジ風のアーチロゴっていうのも新鮮です。

ボディカラーが変わってもここは共通。ネイビーの文字にホワイトの縁取りは、タグなどにも多出するようにブランドのイメージカラーが落とし込まれたものだと推察されます。ランズはブランドロゴをあまり主張しないのが良い点でもあり、悪い点でもあって…(苦笑)。なので、そういったジレンマからの脱却を狙ってチャレンジしたのではないかなと。

LANDS’ ENDのスウェットシャツ ¥11,880(ナーディードッグス™️)

―効果はあったのかが気になります。〈ランズエンド〉のファン層でずっと買い続けている人は、ロゴものを欲することがなさそうというか。

時代的にもブランド自体が過渡期を迎えていたのかもしれません。実際、2000年代からは色使いも少し落ち着いた感じになったり、プレーンなデザインが増えたりとガラッとテイストが変わっていきますし。

―なるほど。ロゴものって主張が強くなりがちですが、これは取り入れやすそう。

生地も裏パイルなので着やすいですし、厚さ的にもオンス低めで軽く、袖&裾リブも短くユルめ。完全にロンT感覚で活躍してくれるのかなと思います。

LANDS’ ENDのスウェットシャツ ¥11,880(ナーディードッグス™️)

―カラバリも色々とありそうですね。

今回はレッド、ネイビー、グレー、オリーブを用意しましたが、ぼくらが存在を確認しているのでいうと、あとはマルーンくらいですかね。もしかしたら渋い色しか展開されていなかった可能性も。

―前回、“基本的にアメリカ製”というのもランズの魅力とお聞きしました。このスウェットもやっぱりアメリカ製なんですか?

生産国はトルコ、シンガポール、ペルーなど結構バラバラ。このデザインでアメリカ製は基本ないんですが、〈ランズエンド〉としてはアメリカ製のスウェットも存在しています。

LANDS’ ENDのスウェットシャツ ¥12,980(ナーディードッグス™️)

これなんかがそうですね。あとは〈チャンピオン(Champion)〉の「リバースウィーブ」ボディを使ったものもあったりします。年代的には結構古いんですが、タグに両者のロゴが並んでいてOEMというかWネーム的なノリだったんだなと思っています。

LANDS’ ENDのスウェットシャツ (パープル)¥11,880/(グリーン)14,080(ともにナーディードッグス™️)

―改めて〈ランズエンド〉というブランドの魅力を挙げるとしたら?

コーディネートで言うと“ブランドロゴを主張しない”というのが大きいと思います。なので、色々なブランドの色々なアイテムに対して親和性が高いんですよね。例えば全身ビーンだとちょっとコスプレ感があるところを、シャツだけランズに変えてみる。多分、周囲にも気付かれないし、そもそも気にもされない(笑)。あとは本拠地がイリノイ州なので、ちょうど北アメリカ大陸の真ん中ら辺ということで、ビーンのような東海岸のブランド、〈ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)〉や〈パタゴニア(Patagonia)〉、〈アールイーアイ(REI)〉のような西海岸のブランドの両方のいいとこ取りで、コーディネートすることが出来るのかなと。

―アイテム的にもアノニマス(匿名性)な感じが多いですもんね。

シェルジャケットなどアウトドア寄りのアイテムもあれば、ボタンダウンシャツやジーンズのようにカジュアル寄りのアイテムもありますからね。なので、あんまり考えすぎず“アメリカらしく自由に”取り入れてもらえればなと。

秋元亮介&大橋佳秀 / Nerdy Dogs™︎ ディレクター
某大手セレクトショップに同期入社した同い年の秋元さんと大橋さんが、それぞれバイヤー、セールスパーソンとして経験を積んだのち独立。2023年7月、豪徳寺に自身らが好きな90 ‘sのアウトドア古着を中心に取り扱う「ナーディードッグス™︎(Nerdy Dogs™︎)」をオープン。
インスタグラム:@nerdy__dogs

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