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ホン・サンスが描く人間のおかしみは、新たな章へ。長編第28作目の『WALK UP』が公開中です。

ファッションの楽しみ方について考えると、奇抜な服を感心しながら眺めるのもひとつだし、馴染みあるブランドの些細な変化や新たな試みにワクワクするのもひとつの楽しみ方です。

映画も同じで、ホン・サンスの新作『WALK UP』はきっと後者にあたるはず。これまで彼の作品を追っかけてきたひとなら、知っている空気だけど、ちょっとした新鮮味も感じる。そんな作品に仕上がっています。

STORY
映画監督のビョンスは、インテリア関係の仕事を志望する娘のジョンスと一緒に、インテリアデザイナーとして活躍する旧友ヘオクの所有するアパートを訪れる。そのアパートは1階がレストラン、2階が料理教室、3が賃貸住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、地下がヘオクの作業場になっている。3人は和やかに語り合い、ワインを酌み交わすが、仕事の連絡が入りビョンスはその場を離れる。ビョンスが戻ってくると、そこには娘のジョンスの姿はなく…。アパートの階をひとつずつ上がるごとに、いつしか物語は4つの章へと枝分かれし、ビョンスと彼を取り巻く女性たちの人間模様は予測不能な方向へとねじれていく。

固定されたカメラと長回しによって、徹底的に人間の言動や行動に目を凝らすスタイルは変わらず。しかし、主人公である映画監督のビョンスと4人の女性それぞれの物語は、パラレルワールドのように交差して紡がれていきます。

映画監督ビョンスに扮するのは、ドラマ『冬のソナタ』(02)のキム次長役で知られ、『新感染半島 ファイナル・ステージ』(20) 、Netflixドラマ『寄生獣 ―ザ・グレイ―』(24-)などで活躍するクォン・ヘヒョ。ホン・サンス作品では『それから』(17)以来の単独主演を務めました。

さらに韓国を代表する名優イ・ヘヨンや、ホン・サンス監督の常連俳優であるソン・ソンミ、チョ・ユニらが脇を固め、迷走中のビョンスの人生を揺らめかせます。ホン・サンス作品では主演はもちろんのこと、それを支える脇役たちの、不器用な愛らしさも見どころです。

ホン・サンスにとって長編第28作目の『WALK UP』は、すでに世界的映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で97%FRESHと高評価。さらに第70回サン・セバスチャン国際映画祭や第47回トロント国際映画祭などでも喝采を浴びた注目作です。

ホン・サンスらしいいつものおかしみと、物語をいかようにも映しだす新たな試みは、観客に何を感じさせるのか。すでに映画は公開中。ぜひ劇場でご覧ください。

INFORMATION

『WALK UP』

監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス 
出演:クォン・ヘヒョ、イ・ヘヨン、ソン・ソンミ、チョ・ユニ、パク・ミソ、シン・ソクホ
2022年/韓国/韓国語/97分/モノクロ/16:9/ステレオ 原題:탑 字幕:根本理恵 配給:ミモザフィルムズ
© 2022 JEONWONSA FILM CO. ALL RIGHTS RESERVED. 
公式サイト

2024年6月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺、Strangerほか全国順次公開

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