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【FOCUS IT.】東京五輪銀メダリストの野中生萌が、パリ五輪とクライミングにかける思い。

冷房がないと蒸し暑くて眠れない日々が続いていますが、それとは違った理由で眠れない日々が続くかもしれません。そう、7月26日(金)にパリ五輪が開幕します。

8月11日(日)までの間にさまざまな競技が行われるわけですが、今回注目するのは前回大会の東京五輪で初めて正式種目となったスポーツクライミング。先日の発表で代表に選ばれた、前大会の女子複合で銀メダルを獲得した野中生萌選手は、開幕を控えたいま何を考えているのか。


野中生萌 / プロクライマー
1997年生まれ、東京都出身。9歳でクライミングと出会う。2013年の16歳時に初めて日本代表入りし、リードワールドカップに出場。2016年ボルダリングワールドカップ・ムンバイ大会で初優勝、同年のミュンヘン大会でも優勝し世界ランキング2位を獲得。2020年の東京五輪から公式種目となったスポーツクライミングで銀メダルを獲得。2024年開催のパリ五輪への出場も決まり準備の真っ最中。
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ーパリ五輪の出場おめでとうございます。いまはどのような気分ですか?

野中:まずはひと安心という感じです。五輪代表が決まるラストの大会で笑っても泣いても最後という緊張感があったなか、しっかり決められてよかったです。東京五輪も経験してパリ五輪にも出たい気持ちがあったので、権利を勝ち取れて本当に嬉しい気持ちです。

ーまだパリ五輪前の最後の大会から1ヶ月も経っていませんが、準備もありますしまだバタバタしていますよね。

野中:日本に帰ってきて体を回復させつつ、1ヶ月後のパリに向けてトレーニングもしているので、落ち着いている感じではないですね。

ー東京で開催された前大会で銀メダルを取ってから、何か意識の変化はありましたか?

野中:自分自身は変わってないんですけど、周りからの目に変化は感じましたね。東京五輪のメダリストという見られ方をするので。シーズンで常にパフォーマンスをキープするのではなく、大会に合わせて体をつくらないと体が持たないので、オフの時に見られると、「いまの自分は弱いのに」と気になったりするようになりましたね(笑)。

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ー普段はどのようなスケジュールでお過ごしなんでしょうか?

野中:基本的にはクライミング中心です。週に4〜5日クライミングをして、1日はフィジカルトレーニング、その他のレストの日に取材対応や休みを取るというルーティンですね。その時のトレーニング内容によるんですけど、2時間で終わる日もあれば長い日で5時間ぐらいクライミングをしている日もあります。フィジカルトレーニングは毎週2時間ですね。

ー初心者がクライミングにチャレンジすると、1時間ほどで手が震えるぐらいハードなスポーツですよね。休息も大事かと思うのですが、レスト時はどのように過ごされていますか?

野中:フィーリングを大事に生きているので、疲れを感じたら家でケアしています。休みたいけど血液を流したいという感覚の時は、1時間ぐらい散歩に行ったり、買い物にでかけたりしていますね。

ー野中さんにとって、クライミングの魅力はどんなところにあるのでしょう?

野中:いい意味で終わりがないというのがクライミングの魅力だと思っています。課題は無限大にあって、楽しくてしょうがないですし、クリアしてもまた新しいの課題が生み出される。これはクライミングジムでの人工石での話ですが、外岩にもまた別の魅了があります。外岩はわたしが生まれるずっと前から時代を超えてもそこにあり続け、同じ岩をどの時代のクライマーも登ることができるんです。それってとてもロマンチックですよね。時代の流れで削れていったり変化もするんですけど、そういうのも含めて楽しめるのがクライミングだなって思います。

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ー五輪の正式種目となって、以前よりもクライミングの認知度は確実に上がっているように感じていますが、競技人口は増えていますか?

野中:認知度は増えたと感じています。わたしが始めた当時はクライミングと言っても通じなかったんですけど、いまではどういうものかをみんな知っていますし。ジムに来ている方も昔に比べて増えましたね。キッズも当時は自分と数人ぐらいでしたけど、いまではキッズスクールも増えましたよね。

ー海外の盛り上がりはもっとすごいですか?

野中:そうですね。もともとクライミングはヨーロッパが強く、自然の岩場もありますし、スケールも大きい。ジムも増えていますし、お客さんも日本より入っていますね。

ーご自身でクライミングジムをつくりたいと話されているのを拝見しました。どのようなジムをつくるのが野中さんにとっての理想なのでしょうか?

野中:これからアスリートになって、クライミングの時代を変えていくような子どもたちにフォーカスを当てる場をつくりたいと思っているんです。海外だとナショナルトレーニングセンターがあって練習することができるんですが、日本のトップ選手は普通の施設の営業時間に、他のお客さんと一緒に登っています。日本は一般のクライマーのレベルがすごく高くて、普通のジムも頑張っているんですけど、まだ大会に出て勝つために強くなれる環境は整っていないんです。どうしても一般営業に向けたテイストになってしまうので、トップに向けた環境がないという感じですね。もっと環境を整えられると思っているので、そういう取り組みをできたらいいなと思っています。

ー話が変わりますが、最近発売された〈ビーツ〉の「Solo 4」と「Solo Buds」のキャンペーンに出演されていますね。以前から〈ビーツ〉を愛用されている印象ですが、どんなところがお好きですか?

野中:〈ビーツ〉は長時間つけていても耳がいたくならないのがいいですよね。海外遠征のフライト中につけていてもしっかりとシャットダウンしてくれますし。ジムに行く途中などの移動中に使うことが多いですね。

ー今回のキャンペーンは「Stands Out. Stays On」というもので、日本語のコピーは“個性を放つ、感性が続く”です。野中さんはご自身がどのような個性をお持ちだと思いますか?

野中:これは難しいですね(笑)。話が変わってしまうかもしれませんが、少し前に自分の考え方について頭を巡らせていたことがあります。その時に、自分の考え方を正当化していることに気がついて怖いなと思ったんです。“みんなそれぞれ捉え方が違うはず”というマインドでいたいのに、自分の考えていることが正しいと考えている。そんな自分に恐怖を覚えたんです。それを個性と言ったらそうなのかもしれないですけど、誰もが個性的だと思いますし、わたしが特別だという意識は持っていないですね。

ーあの人はこんな人のように、固定概念に縛られるのは好きではないということですか?

野中:そう思っていますね。その考え方が個性と見られるなら、わたしの個性となっているのかもしれません。

ークライミングは人それぞれの身体的な条件で登り方が異なるように思いますが、野中さんはやはりフィジカルでしょうか?

野中:クライミングでのフィジカル要素は個性に入ると思っています。女性の選手は軽さや身体の柔らかさ、スキルで攻略していく方が多いんですけど、いいか悪いかは置いておいてわたしはパワーでねじ伏せたりすることが多いスタイルなので。他の選手にはない強みだと思っています。

ー最後にパリ五輪への意気込みを伺いたいです。

野中:東京五輪で銀ベダルを獲得できたので、次の目標で言うとパリ五輪で金メダルを取りたいというのが強いですね。その当日に自分の全力を出せるかどうかが一番難しいところではあるので、それさえクリアできれば結果はついてくると思っています。

ー初戦に向けて、ここからの最終調整はどのようにされる予定ですか?

野中:できることは限られていますが、ギリギリまでトレーニングをして、1ヶ月前もよりさらに強くなったと言えるように頑張ります。

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電話:0120-993-993
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