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連載「地方良品発掘」No.01 飾ってよし! 使ってよし! 九谷焼に描かれたカエルが伝統工芸のイメージを “変える”。

“地方の時代” といわれて久しいですが、とりわけいまはローカルのことが気になる時代。ウェブメディア&オンラインストアの「OMUSUbee(おむすびー)」は、日本のローカルに眠る魅惑のモノ・コト・トキに光を当て、都会と結び、日本のいいものを面白く提案する、いわば “ローカルのガイド” です。フイナムは、「OMUSUbee」が企画するオリジナル商品を取り上げ、その魅力はもちろん、背景や思いを掘り下げて連載形式でお届けします。初回は、九谷焼と現代アーティストによって生まれたカエルモチーフの磁器です。

Photo_Taijun Hiramoto & Ryo Sato
Text_Shinri Kobayashi


九谷焼のイメージを美しく裏切る白磁。

「OMUSUbee」は、地方の魅力を独自の視点ですくい上げ、現代アーティストと掛け合わせることで、新しい価値を生み出します。そのひとつのオリジナル企画が、伝統工芸×現代アーティストのコラボレーションプロジェクト「BLEND IT TRADITION」。

今回、伝統工芸として白羽の矢が立ったのは、石川県が誇る「九谷焼」。県内で採れる花坂陶石を原料とし、皿や茶碗などの日用品から装飾品まで幅広く取り揃え、華美な色彩と品質の高さを誇る、伝統的な焼き物です。

徳利+盃セット ¥14,520
ほろ酔いのカエルを見ると、お酒も進みそう。徳利は花の一輪挿しとして使うのもあり。

「九谷焼」といえば、赤、黄、緑、紫、紺青の5色を使用した鮮やかな色彩が特徴ですが、今回つくられたのはシンプルな白磁、つまり白い磁器です。少し青みがかった独特の美しさを讃えています。この白いキャンバスともいえる白磁に、淡い群青色でどこか人間味のあるかわいいカエルの絵を描いたのが、現代アーティストであるYU SUDAさん。ではなぜカエルなのか?

PROFILE

YU SUDA

東京生まれ。日本人としてのアイデンティティをベースにした画風をもとに、多様なタッチでオリジナルの世界観を表現する。作家としての作品制作はもちろん、さまざまなクライアントワークでも活躍。
Instagram:@uyudas

「伝統工芸って、少し堅いイメージが先行しがちですよね。だから手を出しづらい方もいるのではと思い、『九谷焼』を身近な存在として触れてほしくて、カエルのキャラクターを使うことにしました。というのも、ぼくのなかでカエルは、昔から日本人に愛されているキャラという印象があるんです。たとえば、古くは浮世絵でカエルモチーフが描かれたり、90年代には人気の『けろけろけろっぴ』もいました(笑)。どこか微笑ましいようなギャップを設けることで、カジュアルに伝統工芸に触れてもらえたらと」

左:7寸角皿 ¥11,000 右:3寸角皿 ¥7,150
大きい方は7寸=約21cm、小さい方は3寸=約9cm。窓から覗く・覗かれるカエルが別視点で描かれているのでセットで使うのも楽しい。

現代アーティストYU SUDAの浮世絵への思い。

SUDAさんは多彩な画風を持つ現代アーティストですが、その特徴のひとつは、浮世絵など日本古来の風俗画のタッチを活かしたもの。実は、大学時代に浮世絵の授業を受け、それまでにない新しい価値や概念に衝撃を受けたそう。

「幼少期からずっと絵を描いてきましたが、浮世絵はそれまでに身につけてきた、自分のなかにある正解とことごとく違いました。湾曲した線も何もかもずれたバランスも描いたことなんてなかったのですが、それが不思議とカッコよくて…」

そして海外で、日本人という自己のアイデンティティを見返すことで、いよいよ浮世絵に対する “覚悟” が決まります。

「はじめて外国で暮らしてみて実感したのは、自分でも気づかないうちに、日本人としての誇りを強く持っていたことでした。ひととの関わり方やモノの扱い方、礼儀など、日本人の文化は、世界的にも類を見ない特別なものなんだと気づいたんです。だからこそ自分も絵描きとして、日本人としてのアイデンティティを表現したいなと。そんなぼくの気持ちとリンクしたのが、大学時代の頃から描き続けてきた浮世絵の精神性で、その娯楽性や洒落っ気、安価で楽しめる大衆性など精神的な共感を、表現しようと思ったんです」

左:3寸モッコ皿 ¥5,500 右:6寸モッコ皿 ¥13,200
小さい方は3寸=約9cmの小皿で、大きい方は6寸=約18cmの大きさ。ストリートカルチャーのモチーフを取り入れるのもSUDAさんの作風のひとつ。

あなたは新しい伝統工芸をどう楽しむ?

“伝統” に対する並々ならぬリスペクトを持ち、今回のコラボには、日本の文化をもっと多くの人に伝えたいという、SUDAさんの本気の思いが込められています。そんな思いのバトンをSUDAさんから受け取り、実際の製作を担当するのは、1972年創業の窯元「宮吉製陶」。職人の技術と手仕事から生み出される伝統的な表情を大切にしながらも、現代のライフスタイルに寄り添う新しい提案を続けている、現在の「九谷焼」の中でも名うての窯元です。今回は、ハンコ技法と呼ばれる、焼き物にハンコを押して同じ文様の輪郭線を付ける技術と繊細な塗り作業でひとつひとつ丁寧につくられています。


今回のプロジェクトが人気ということもあり、早速SUDAさんとのコラボ第二弾として、風鈴、手ぬぐい、キーホルダーの発売もスタート。

注染手ぬぐい ¥2,420


江戸風鈴
上:一升瓶 下:宇宙飛行士 各¥5,830

刺繍キーホルダー
左:のぞき見 中:ほろ酔い 右:スケートボード 各¥3,300

カタチ、サイズともにバリエーション豊富な白い磁器と肩の力の抜けたカエルモチーフの融合は、新しくモダンな伝統工芸といえるでしょう。一般的な華美な九谷焼ではなくシンプルな白磁だからこそ、毎日眺められるような場所に飾ってもいいし、食卓の上で活躍してもらうのもいいかもしれません。ぜひ日常のなかに、気ままに取り入れてみてください。

INFORMATION

OMUSUbee × YU SUDA COLLECTION

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