老舗酒蔵・篠崎がつくったコンセプトショップ、SHINDO LAB STAND。まだ見ぬお酒との新たな出逢いと体験を。

福岡空港からバスに揺られること40分。無数の田んぼが点在し、市境には筑後川が流れるのどかな街、福岡県朝倉市。この場所で古くから酒づくりを行ってきた「篠崎」が、実店舗ならではの体験を提供するコンセプトショップ「SHINDO LAB STAND」をオープンしました。

クリエイティブディレクションは、数多くのデザインディレクションを行う「コンセプトコンセプション（Concept Conception*）」のファウンダーにして、フイナムでもお馴染みのブランド〈アントレース（UNTRACE）〉を率いる小野清詞さんが担当。ショップデザインは、インテリアデザイナーであり、フジロックでのパフォーマンスも記憶に新しいロックバンド「toe」のギターリストでもある山嵜廣和さんが手がけ、ローカルならではの居心地の良さとローカルらしからぬモダンなデザインが同居したハイブリッドな空間に仕上げられています。

豊かな自然のなかに悠々と佇むこの施設の全貌を探るべく、いざ、朝倉市へ。

老舗酒造の新たな挑戦。

江戸時代後期より清酒製造をスタートさせ、今年で設立220余年を迎える「篠崎」。日本酒づくりに始まり、40年前には、それまで家庭でつくる伝統飲料とされていた米麹甘酒の製造に着手。麹と発酵に詳しい醸造の専門知識を用いて作られた「国菊あまざけ」は後の看板商品となり、瓶タイプの甘酒として国内シェアNo.1を獲得。そして2021年には新たな挑戦の場として「SHINDO LAB」を開設し、ウイスキーやワインづくりにも力を入れています。

そんな「SHINDO LAB」では、ウイスキーの蒸溜所と樽熟成庫、そしてナチュラルワインの醸造場と定温熟成庫を運営。敷地面積はなんと5500坪！その一角に、「SHINDO LAB STAND」はあります。

モルタル調の空間には丸みを帯びた什器が並べられ、和の意匠を感じさせるデザインに。店内では、人気の「国菊あまざけ」や長期間熟成させた琥珀色の焼酎「千年の眠り」を筆頭に、樽醸成麦焼酎をベースにしたリキュール「朝倉」シリーズ、クラフトジン、ナチュラルワインなど、多彩なお酒がラインナップ。

特筆すべきは、こだわりのウイスキーを樽から直接瓶詰めできるハンドフィル体験ができること。スコットランドの蒸溜所では当たり前のようにあるものの日本では大変珍しく、この装置は「SHINDO LAB STAND」のオープンに当たり特注したんだそう。その時々のオススメのウイスキーが提供され、瓶詰めの後はオリジナルラベルに自分の名前や日付を記載。海外のウイスキー好きの間では、ラベルをあえて逆や斜めに貼り、自分だけのボトルデザインを完成させるカルチャーが根付いているんだとか。

見どころは他にも。ここでしか買えないアパレルも展開され、ディレクションは〈アントレース〉が担当。「篠崎」のコンセプト“THE QUEST FOR THE ORIGINAL”を「Q4O」というロゴで表現したTシャツやキャップに加え、福岡を拠点に活動するグラフィックアーティスト・WOK22さんとのコラボもリリース。スーベニアグッズの域を超えた、感度の高いデザインを楽しめます。

貴重なウイスキー熟成庫に潜入！

「SHINDO LAB」ではウイスキーの製造工程を体験できる蒸溜所ツアーも開催しているとのことで、この日はウイスキーの熟成庫を見させてもらうことに。足を踏み入れると視界に広がったのは…、

無数の樽が並べられた圧巻の光景！この場所では、一度バーボンを貯蔵した「バーボン樽」やオリエンタルな香りが特徴的な「ミズナラ樽」など、溶解成分の異なる樽でウイスキーを熟成。例え同じ種類の樽にウイスキーを入れたとしても二つとして同じ味わいに仕上がることはなく、一樽一樽の熟成具合はブレンダーが定期的にチェックしているそう。スポイトで1~2滴ブレンドしただけでも、その樽のウイスキーの香りや風味は大きく変わります。「SHINDO LAB」のウイスキーは、ゆっくりと年月をかけ丁寧に熟成させ、樽1本の個性を繊細な職人技で活かした末に出来上がるのです。

「SHINDO LAB」の酒づくりへの姿勢が垣間見える「SHINDO LAB STAND」。福岡旅行の際は、都心部から足を伸ばし、この場所で自然とお酒が織りなすスローなひと時を過ごしてみてはいかがでしょう。